SNSに複数の肩書を連ねる女たちがいる。

サロネーゼ / ライフスタイルプロデューサー / パーソナルスタイリスト / PR...。

会社には属さず、自らの力で生きる“フリーランス”の道を選んだ女たち。

彼女たちは本当のところ、どんな仕事をして、どれほどの収入を得て、どのような生活を送っているのだろうか。

一見、好きなことしかしていないような彼女たちの、その実態に迫ってみよう。




<今週のフリーランスの女性>

名前:加奈子(33歳)
前職種:貿易関連会社勤務
現職:オーガニック化粧品会社 経営
年商:約3,800万
年収:約420万
住居:代々木上原
結婚:未婚


サロネーゼは、個人事業主。そことは違う経営者


加奈子さんは、若い女性を中心に人気を誇る、オーガニック化粧品ブランドの経営者だ。

元々肌が弱く、アレルギー体質だった加奈子さん。

自身の経験をもとにして開発されたコスメは人気を博し、オーガニックコスメ好きの間でじわじわ口コミで広がり、今に至る。

しかしここまでの道のりは、決して平坦ではなかった。

「最初は全く軌道に乗らず、何度も影で泣きました。法人化した以上、途中で投げ出すわけにも行かず...」

だからこそ、加奈子さんは許せないことがあるという。

「経営者です、と名乗るサロネーゼ。彼女たちはサロネーゼであって、経営者ではない。会社を起業し、経営している私たちと一緒にしないでほしい。」

近年のサロンブームで、女性は自分の好きなことをして稼げる時代になった。しかし実態は個人事業主が多く、法人化している女性はまだ少ない。

「起業することと、趣味程度でサロンを開くことは全く違う。」

そう話す加奈子さんの口調は強い。

「法人税だけでなく、税金に従業員の給料と保険料、毎月の税理士報酬など想像以上にお金がかかることを、彼女たちは知っているのでしょうか?」

彼女がここまでサロネーゼを嫌うのには、理由があった。


サロネーゼを目の敵にする女社長。その理由は過去の苦い思い出が関係していた。


年商に関わらず、月収35万、年収420万の理由


そんな加奈子さんの収支バランスを見ていこう。




年商3,800万も稼ぐ加奈子さん。もっと支出が多いかと思いきや、その質素な生活ぶりに驚いた。

「従業員が2名いますし、青山にオフィスを構えているのでそこの家賃もかかる。今は自分のことよりも、会社のことを一番に考えているので、役員報酬(自分の給料)はギリギリ生活できるレベルまで抑えています。」

経営者と言うと多額の報酬を貰っているイメージを持っている人も多いようだが、実際には税金対策の意味もあり、年商と比較して年収は低くしている人も多い。

「年商がそのまま収入に直結すればいいのですが...これでも、まだ自分の給料を上げた方ですよ。」

初年度の役員報酬はゼロだった。(つまり、年収は0円だった。)


きっかけは、サロネーゼ詐欺


加奈子さんが起業したきっかけは、自身が某サロンに通ったことだと言う。

敏感肌で、市販の化粧品を使うとすぐに肌がかぶれてしまう加奈子さんは“手作りでオーガニック系コスメを作る”サロンに約20万円支払い、週に1回、合計12回コースのレッスンを受講した。

その講座を受けるとマイスターと呼ばれるランクになるが、自分でサロンを開業したければ、また別の講習を受ける必要があった。

「でも、結局学べたのは、既に知っているようなことばかり。そして受講費以外にもその都度材料費や容器代など諸々取られ、妙な怒りと違和感を覚えたんです。」

チープ過ぎる内容に対しては高額すぎる受講料。腑に落ちなかった。

それと同時に、こんな薄い内容で商売にしている人がいるならば、本当に敏感肌で悩んでいる人は救えないと思ったそうだ。

自分自身が敏感肌で悩んでいたため、オーガニックコスメに関して独学で学んでいた加奈子さん。サロネーゼよりも、知識量ははるかに多かった。

当初、サロンを開業しようかとも考えていたがそんな生半可な物ではなく、真っ向から勝負したくなったという。

「そうして、勤めていた貿易会社を半年で辞めると決め、起業準備に取り掛かりました。工場を自らネットで探し、アポを取り、成分も専門家の意見を取り入れながら自分で考えて。そこからエンジェル投資家を探し、起業しました。」

貿易会社の年収は、ボーナスを含めると約720万だった。

この時、貯蓄は約600万。300万は資本金に、残りは初年度の生活費として、切り崩しながら生活をした。


売れれば売れるほど赤字に?!オーガニックの思わぬ落とし穴


個人事業主とは違う、経営者という責任


意気揚々と会社を始めた加奈子さんだが、大きな壁にぶち当たる。

良い原材料を使用し、自分の肌で確かめた製品に自信はあった。

そして加奈子さんの読みの通り、オーガニック通の間で話題を集め、商品は順調に売れ始めた。

当初店舗は持たず、ECサイトのみで販売していたが、その内オーガニック商品を扱う店などから問い合わせが入るようになり、卸先も増えていく。

しかし、売れれば売れるほど赤字になっていった。

「身体に良い物を作りたくて、中身にこだわり過ぎていたら原価が異常に高くなってしまって。利益率が低すぎて、赤字になってしまった月もありました。」

-趣味程度でビジネスはできない。

加奈子さんは、この時痛感した。




コピー商品にご注意を。常に追い、追われる世界


仕事が好きと言い切る加奈子さんだが、経営者としての苦悩は尽きない。

「自社製品で仮に一つの商品が大ヒットしても、他の製品が売れるとも限らない。常に何か新しい物を考え、生み出していかなければならないので不安で眠れない時もあります。」

一見、好きな物を売り、社長という現在の地位を謳歌しているように見える加奈子さんだが、意外に悩みは深い。

「化粧品だけに限らないと思いますが、売れればすぐに類似品がオリジナルの商品より安価で、販売されたりしますから。」

今の目標は、アジア展開できるほど会社を大きくすること。その目標のためにも、加奈子さんの努力は日々続いている。

最後に加奈子さんは言った。法人化した人からすると、個人事業主と自分の立場は全く異なると。

「今は、自分で自由に職業を作れる時代。よく分からない肩書きの人も多いですが、本物だけが残ると信じています。」

一言でフリーランスと言っても、様々な立場、働き方があるのは言うまでもない。

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