ビールを持ったまま襲撃から逃げる男性(右)(画像は『Howard Mannella 2017年6月3日付Twitter「People fleeing #LondonBridge but the bloke on the right isn't spilling a drop. God Bless the Brits!」』のスクリーンショット)

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わずか2か月間に3件のテロ事件が発生したイギリスでは、国民の不安と恐怖が積み重なる一方のようだ。6月3日に発生したロンドン橋でのテロ事件は再び英国民を悲しみのどん底に突き落としたが、あるひとりの男性がテロの恐怖に怯える人々のささやかな救いになったと話題になっている。英『Mirror』など複数のメディアが伝えた。

3月22日の英国会議事堂周辺で起きたテロ事件、5月22日のマンチェスター・アリーナでのテロ事件に続き、6月3日の夜10時8分頃にロンドン橋とバラ・マーケットエリアで暴走した白いバンに乗った男3人が土曜の夜を楽しんでいた人々を殺傷するというテロ事件が発生した。

男3人は通報を受けて駆け付けた武装警官らに射殺された。レストランやバーに流れ込んだ武装警官が「体を伏せて!」と人々に命じ、その後それぞれ両手を頭の後ろに組ませて事件のあった場所から早急に避難させる光景が見られた。

パニックと緊張感が溢れる現場から一刻も早く立ち去ろうとする人々の様子が通行人のスマホで撮影され、その映像が複数の英メディアでも流されたが、その中である男性の姿が注目を浴びた。

テロ現場から早急に避難しようとしているその男性の右手には、しっかりとビールのパイントグラスが握られており、男性はビールをこぼさないように慎重にかつ早足で歩く様子が捉えられている。

ハワード・マネラさんは自身のツイッターにその男性の写真を投稿し、「ロンドン橋から逃げる人々。右の男性はビール片手に一滴もこぼさず逃げている。さすがイギリス、神のご加護を!」とツイートした。

この写真はたちまち拡散し、英『Mirror』では「どうやらこの男性はテロリストごときにせっかくの夜を台無しにされたくなかったようだ。何が起こっても(テロなどに屈することなく)人生は続いていくのだというモットーを持つべきだと思わせられる」と報じている。

今回のテロ事件では7名の死者と48名以上の負傷者が出ており、ロンドン市内にある複数の病院に搬送されたが21名が重傷と伝えられている。その中には英『Sunday Express』のジャーナリスト、ロンドン警視庁やイギリス鉄道警察の警察官も含まれているという。

そんな惨劇の中で、ビールを持った男性の姿に英国民は大きく反応したようだ。イギリスの人気ナンバーワンである老舗ビール“LONDON PRIDE”を皮肉って「まさにこれがイギリス人にとってのプライド精神“LONDON PRIDE”だね」「なんてイギリス人らしいんだ」「そりゃ、一滴もこぼせないさ。だってロンドンでは酒代が高いし」「確かに。1パイント(568ml)6ポンド(約860円)もするから置いてはいけないよ」「『テロリストに自分の命を奪われても、このビールだけは…』という心境だったのかも」「クレイジーだけどなんだか『よくやった!』って理解できるわ」といった声が相次いだ。

こうした声に対して「人が亡くなっているのにそういうジョークを言うなんて不謹慎。笑えない」と批判する人もいるが、「誰もテロ事件を無視などしていない。こういう時だからこそ、ユーモアは自分たちに強さを与えてくれる」「悲劇と向き合わなければいけない私たちには、イギリス独特のブラックユーモアは救いになる。だから私はこの国が大好き」「辛い時間を与えられている私たちにとっては、束の間でもこんな光景でクスッと笑えることが救いになるんだ」という声が多く、日々恐怖と不安に慄く国民の「何が起こっても普段通りに生きる。テロには屈しない」という姿勢が垣間見られるといえよう。

画像は『Howard Mannella 2017年6月3日付Twitter「People fleeing #LondonBridge but the bloke on the right isn't spilling a drop. God Bless the Brits!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)