ミュンヘンでのコンサートで演奏するボブ・ディラン氏(1984年6月3日撮影、資料写真)。(C)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ノーベル賞を選考するスウェーデン・アカデミー(Swedish Academy)は5日、昨年のノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)に選ばれたシンガー・ソングライターのボブ・ディラン(Bob Dylan)氏から、ついに同賞の受賞講演が送付されたと発表した。ディラン氏は講演の中で、ロック歌手のバディ・ホリー(Buddy Holly)や古代ギリシャの叙事詩『オデュッセイア(The Odyssey)』から影響を受けたと述べている。

 講演はディラン氏が賞金の800万スウェーデン・クローナ(約1億円)を受け取るための唯一の要件で、期限が今月10日に迫っていた。

 スウェーデン・アカデミーのサラ・ダニアス(Sara Danius)事務局長は5日、ブログに「スピーチは素晴らしく、ご想像の通り、雄弁だった。こうして講演が行われたことで、ディラン氏の冒険は終わりを迎える」と投稿した。

 アカデミーは昨年10月、ソングライターのディラン氏を文学賞受賞者に選出したと発表して世間を驚かせたが、本人から賞を受け取るとの返答を得るまで2週間余り待つことになった。さらに同氏はその後、12月の授賞式への出席を「先約」を理由に欠席している。

 講演は、ディラン氏が自ら原稿を読み上げた音声の形でアカデミーに送られた。同氏はその中で、自らの歌詞と文学との関わりについて考察している。

 ディラン氏は「初めにこのノーベル文学賞を受けた時、自分の曲が文学と一体どんな関係があるのだろうかと考えた」と述べた後、自身が影響を受けた音楽家や、古典文学を列挙。

 バディー・ホリーの音楽で十代だった自身の「人生が変わり」、曲を書きたいと思うようになったと述べた他、『白鯨(Moby Dick)』『西部戦線異状なし(All Quiet on the Western Front)』『オデュッセイア』といった文学作品から大きな印象を受けたとした。

『風に吹かれて(Blowin' In The Wind)』を書いたディラン氏はオデュッセイアの主人公に言及し、「彼は風に翻弄(ほんろう)されている。やむことのない風、冷たい風、敵意ある風に。遠くへと旅した後、元の場所へと吹き返される」と語っている。
【翻訳編集】AFPBB News