Macが遂にVR対応。macOS Sierraの次は『High Sierra』、APFSファイルシステム標準化など新機能多数
アップルが開発者向け会議WWDC 2017のキーノートで、次世代macOS 『High Sherra』(ハイシエラ)を発表しました。開発者向けのプレビューは本日から公開され、6月後半にパブリックベータ版を公開。一般向けリリースは秋の予定です。

特徴としては、標準のファイルシステムをより高速かつ堅牢な新方式Apple File System(APFS)に変更し、ファイルのコピーやバックアップが高速になります。またMacOSでは遅れていた感もあったVRヘッドセットへも対応します。

【ギャラリー】Apple macOS High Sierra (8枚)



対応するハードウェアは、MacBookとiMacが2009年以降のモデル。MacBook AirとPro、Mac miniとMac Proが2010年以降のモデルとされています。

今回の更新の路線は、アプリケーションの新機能よりも、比較的内部処理に重点を置いたタイプという印象。ですがそれゆえに、例えばAPFSによるファイル操作の速度向上やHEVCコーデック動画への対応など、普段の使い勝手では大きく変わる箇所も見られます。





また内部的に大きなトピックは、グラフィックスサブシステムのバージョンアップ。現行の「Metal」から『Metal 2』への刷新となりました。もともとMetalはVulkanやWindowsでのDiretctX 11に対抗できる比較的世代の新しいAPIでしたが、バージョンアップで長所を伸ばす方向で強化。例えばドローコール処理のスループットはMetal比で最大10倍になるなど、さらなる効率化が図られています。



とくにユーザーに対する影響が大きな点としては、「Metal for VR」としてVRヘッドセットへの対応を果たすところでしょう。合わせてMetal 2は、GPUを使った機械学習への対応も図られます。

さて対応ヘッドセットは、現状判明しているのがHTC Vive。対応アプリケーションは、SteamVR(対応アプリ)やUnreal Engine、Unity(Unity Editor)が紹介されました。またアップル製ビデオ編集アプリの『Final Cut Pro X』も、360度動画などで対応します。



なおVRヘッドセットが利用できるMacは、同時に発表されたiMac Proと新iMacの27インチ5K版、そしてThunderbolt 3端子経由で外付けGPUと組み合わせたMacBook Proなど。

「最後は一体何者?」と思われるでしょうが、これは同時に発表された開発者向けキット。Thunderbolt 3経由のビデオカード用ケース(USBタイプCのハブ機能も搭載)に、AMDのRadeon RX 580搭載カードを組み合わせた構成です。





なお、VR開発のデモとしては、映画における特殊効果大手「インダストリアル・ライト&マジック」のジョン・ノール氏が登壇。スター・ウォーズシリーズを元にしたVRデモアプリの作成を例に、宇宙船やダース・ベイダー卿などのオブジェクト配置をリアルタイムで行なう様子と、そのスムーズさをアピールしています。



一方、標準搭載のアプリケーションレベルでは、Safariとメール、写真での機能強化を紹介。

SafariはJavaScriptをGoogle Chromeに比べて80%高速化。その他の高速化も加え「世界最速のデスクトップWebブラウザ」と謳います。また動画の自動再生をブロックする機能や、詳細は不明ながら機械学習を用いたインテリジェントなトラッキング防止機能なども搭載。



メールでは受信済みメールに対する圧縮機能により、ストレージ容量を従来比で35%削減。さらに全画面表示でのスプリットビューが可能となるなど、使い勝手を高める工夫が導入されています。



また写真は、機械学習ベースにより現行より高精度な顔認識や、検索機能の強化、専用レタッチアプリ並の色調整などをデモしました。



また、APFSの動作に関しても、複数の大容量動画が一瞬でコピー完了となるデモをアピールしています。



さらに公式ページでは、日本語入力の改良点も紹介。日本語と英語を組み合わせた入力時の効率改善や(いわゆる)トレンドワードのクラウド変換、日本語のスペルチェックと自動修正の強化など、見逃せないタイプの改良点が盛り込まれています。



このようにHigh Sierraは、上述のように内部的な改良を重点に置いたバージョンアップではあります。しかしMetal 2やAPFSといったOSの根幹に関わる点に手が入っているため、ユーザーへの影響は大きなものとなっている印象。

とくにAPFSに関しては、クラッシュに対するファイル保護の強化やファイル更新スナップショットの安定化、ファイルシステムネイティブでの暗号化サポートといったユーザーメリットも大きな強化が図られているため、今後の展開が楽しみなものとなっています。

ゲームなどのコンシューマーVRアプリを含め、今後のアプリ対応が楽しみになるタイプのOSアップデートと呼べそうです。