中村航輔(撮影:Noriko NAGANO)

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日本代表メンバーが集まったあと、最も競争が激しいポジションがある。フィールドプレーヤーは原則的に同じポジションに2人。ところがGKだけはいつも3人招集されるのだ。さらにGKは先発すると、なかなか選手交代させないポジションでもある。そのため試合経験を積むことは難しく、余計に出番が回って来づらい。

現在の日本代表では、川島永嗣、西川周作、東口順昭が常連と言えるだろう。そしてこの3人の誰かが負傷していたり調子を崩しているとき、やっと他のGKが試されることになる。もっとも試されるばかりでなかなか実戦投入の機会は与えてもらえない。

過去もGKはデビューまで二時間がかかった。川島の初招集は2007年2月。だが試合に初めて出たのは2008年2月だった。西川は2006年8月に招集され、初出場は2009年10月。2011年3月に招集された東口がAマッチにデビューしたのは2015年8月のことだった。

このトップ3に食い込むのは誰か。これまで六反勇治、林彰洋、権田修一が招集され、GKコーチが交代した後の2016年10月には西川、東口、林に加え、櫛引政敏、シュミット・ダニエル、中村航輔も呼んでGK合宿が開催されている。

今回、その中から中村が初招集された。公開された部分の練習では明るく振る舞っていた中村だったが、報道陣の前に現れたときは緊張感一杯の表情だった。

「いろいろ初めての経験ですので、あの、よかったと思います」

川島、東口というライバルに対してどう感じ、何をアピールしようと思うのか。

「2人ともシュートを止める能力が高いですけども、自分もなんとか、負けないように頑張りたいと思います。(アピールポイントは)統合的にですね。すごく勉強になります。日頃、間近では見られない選手ですので、このタイミングで見られてよかったです」

「慣れてない場所でのトレーニングですので、いつものリズムではないと思いますけれども、しっかりやっていきたいと思います。みんなに挨拶はさせていただきました。しっかり返してもらいました。試合に出たときはいつもどおり結果を追い求めてやろうと思っています」

川島が万全である以上、中村の今回の出番はよほどのことがない限りないだろう。それでも初招集がなければ、初出場も生まれない。柏をリーグトップに浮上させ好調さを見せつけた22歳のGKが、まずはスタートラインに立った。

【日本蹴球合同会社/森雅史】