『ワンダーウーマン』を撮影中のパティ・ジェンキンス監督とワンダーウーマン役のガル・ガドット
 - Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

写真拡大

 負け試合から仲間を救ったのは、なんと、女性のチームメートだった。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『スーサイド・スクワッド』などDCコミックス映画は、興行成績こそ悪くないものの、出来という面ではパッとせず、ライバルのマーベルに大きく引き離されてきた。だが、先週末北米公開された『ワンダーウーマン』が、ついにその流れを変えてみせたのだ。(Yuki Saruwatari/猿渡由紀)

 ガル・ガドットが主演、パティ・ジェンキンスが監督する『ワンダーウーマン』の北米3日間の売り上げは、予測を上回る1億ドル(約110億円)強。女性監督の作品としては史上最高記録だ。これまでの1位は、サム・テイラー=ジョンソン監督の『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の8,500万ドル(約93億5,000万円)だったが、官能ロマンス小説の映画化である『フィフティ〜』の観客は、言うまでもなく圧倒的に女性だった。スーパーヒーロー映画を女性が手掛け、幅広い層にアピールする作品に仕上げてみせたのは、画期的なことなのである。(数字は Box Office Mojo 調べ、1ドル110円計算)

 実際、観客は非常に満足した様子で、シネマスコア社の結果はAと出た。DCコミックス映画がAを取ったのは、クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト ライジング』以来、初めてのこと。批評家受けも、大手映画批評サイト「ロッテントマト」で94%の支持率と素晴らしい。『マン・オブ・スティール』は55%、『バットマン vs スーパーマン』は27%、『スーサイド〜』は25%だった。男のヒーローがやれなかったことを、この美しきヒロインがやってみせたわけである。

 マーベルと違って暗すぎると批判もされてきたDCコミックス映画だが、その点でも今作は違う。女性しかいない島で育ったダイアナことワンダーウーマンが普通の人間社会に適応していく過程は、ストーリー上無理のない、心温まるユーモアに満ちあふれている。もう一つ、今作が観客、特に女性を惹きつける理由は、感動のラブストーリーであること。ダイアナを、正義のために戦う強きヒーローに成長させるのは、愛の力なのだ。

 それらはまさに、ジェンキンス監督だからこそ達成しえたもの。彼女の成功を喜んでいるのは、彼女を雇うという決断をしたワーナー・ブラザースだけではない。「女性監督にアクション大作は無理」「女性が主役の大作映画は金を稼げない」という長年こびりついてきた信念が間違いであると証明されたことは、女性監督や女優たちに扉を開けることを意味するのだ。とはいえ、これはあくまで始まり。この動きに追従するスタジオが、今後どんどん出てこないといけない。そうなってこそ、本当の変化と呼べるのである。

映画『ワンダーウーマン』は8月25日より全国公開