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<先月マンチェスターのコンサートで自爆テロ攻撃を受けたアリアナ・グランデが慈善コンサートを開催。ロンドンテロ直後の厳戒態勢のなか、テロに屈しない結束を世界に呼び掛けた>

イギリス・マンチェスターで先月のコンサート中に発生した自爆テロ事件を乗り越え、今週4日、歌手アリアナ・グランデが慈善コンサートを開催した。販売された3万5000枚のチケットはわずか6分で完売したと報じられている。

同日には、アリアナのコンサート会場から約800メートル離れたサッカー場でマンチェスター・ユナイテッドのチャリティーマッチも開催され、2つのイベントで合わせて11万5000人の観客が見込まれていた。

前回テロ攻撃を受けたコンサートの観客が会場に招待された Dave Hogan/One Love Manchester/REUTERS

前日3日夜にはロンドン中心部のロンドン橋などでテロ組織ISIS(自称イスラム国)傘下のメンバーによるものと見られるテロが発生し、少なくとも7人が死亡。テロへの不安が拭いきれないなかでコンサートは開催された。

ファンの間では開催を危ぶむ声が上がっていた。これに対してアリアナのマネジャーのスクーター・ブラウンは当日朝のツイッタ―で「コンサートはマンチェスターと世界が憎しみと恐れに屈しないことを宣言する意味がある」というメッセージを投稿。コンサート開催に向けた強い意志を示した。

ロンドンテロの直後に公演開催の意志を明らかにしたマネジャーのスクーター・ブラウンのツイート

亡くなった少女のために内容を変更

先月に自爆テロを受けた公演の観客があらためて招待され、収容人数5万人の会場は観客で埋め尽くされた。ステージに登場したアリアナは、「来てくれて本当にありがとう。とても幸せ、ファンと一つになれたことに感謝したい」と語った。

慈善公演で歌うアリアナ(写真左)とマイリー・サイラス Dave Hogan/One Love Manchester/REUTERS

コンサート内容は当初予定されていたものから直前に変更された。アリアナは先月の自爆テロの犠牲となったファンの少女オリビア・キャンベル(15)の母親を先週慰問し、「娘はヒット曲を聞きたかったはず」と聞かされて、開催直前に急遽曲目を変更したエピソードをステージ上で紹介。自身を代表するヒット曲を多数、歌い上げた。

ロンドン市内の病院に入院するファンを見舞うアリアナ

会えないファンとはビデオ通話

マンチェスター警察は、同日開催された2つのイベントのテロ警戒のために「マンチェスター警察と国内の他の警察から相当規模の警察官を投入」して警備にあたった。バッグなどの手荷物検査は通常よりも厳重に実施された他、イベントに参加する観客らは事前にバッグなどを持って行かないように指示されていた。

コンサートには、アリアナの他、ケイティ・ペリー、ジャスティン・ビーバー、コールドプレイ、ファレル・ウィリアムズなど著名アーティストが多数参加。このうち歌手のファレル・ウィリアムズはステージ上で、「いろいろなことが起きているけれど、この会場では何も恐れを感じない」と観客に語りかけた。

コンサートの様子はフェイスブックでもライブ配信された。

会場周辺は武装警官がテロ警戒にあたった Phil Noble-REUTERS

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部