倉本聰・脚本のシルバータイムドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日・月〜金曜12:30〜)第9週。


前週は、秀サンのギックリ腰騒動でドッタンバッタン大騒ぎなコメディ路線だったが、今週は打って変わって、かつての栄光を失った老人たちの悲しさを感じさせる展開でした。

中島みゆきの「慕情」2番で号泣!


月曜日、『徹子の部屋』明けでいきなり「やすらぎ体操」スタートという異色の構成ではじまった第41話(オープニングテーマはナシ)。

前週から引き続き、遺産相続問題を考えながらあーだこうだダベッている老人たちなのだが、自分の死を考えるにあたって女と男の注目ポイントが違っているのが興味深かった。

「(遺産相続について)死んだ後のことなんて知っちゃいないわよ」と言い放つマヤ(加賀まりこ)。苦労して稼いだお金なんだから死ぬまでに使い果たそうと、1日36500円ペースで浪費していた冴子(浅丘ルリ子)。

女性陣は良くも悪くも、とことん現実的だ。

一方、男性陣は「天国と地獄って本当にあると思う?」なんて死後の世界に思いを馳せているのだ。……夢見がち過ぎ!

「地獄にはオワイ(糞尿)地獄がある」という、お昼時にはふさわしくないサイテーな話の後には、「あの世でもう一度逢いたい人」というロマンチックな話題に。

「女房なら、若い頃より、死ぬ間際の老けた女房にオレは逢いてえ」
「その方が、しゃべる話が何だかいっぱいある気がしてな」

普段、わりとドライな言動をしている大納言(山本圭)が泣きながらこんなことを言うので、こっちまでウルッとさせられてしまう。

たたみかけるように菊村栄(石坂浩二)も、

「私も、今すぐ逢えるというなら、若く輝いていた昔の律子より、死期の迫った晩年の律子に逢うことの方を選ぶに違いない」

そして、オープニングテーマ曲・中島みゆきの「慕情」(初の2番!)とオープニング映像がイン! そんで涙ドバー。

オープニングが最後にドンとはじまるこの演出……アニメなどで多用されているパターンだけど(最近だと大河ドラマ『真田丸』でも)、すんごく効果的!

「もう一度出会いから もしもあなたと歩き出せるなら」

という歌詞もバッチリハマッて、「もうコレで最終回でもいいよ!」という感動に包まれてしまった。

月〜金の帯ドラマなのに、月曜日にいきなり最終回感を出してきたのにはおどろかされたが。

久々に登場(フジ)テレビ批判!?


火曜日からは新展開で、ドラマ内はゴールデンウィークに突入。

久しぶりに家族たちが訪ねてくる老人もいれば、訪ねてこない老人もいるという、なかなかエグイはじまり。おじいちゃん、おばあちゃんが露骨にションボリしているのを見せられると、演技とはいえ心が痛い。

そんな中、菊村の元にやって来たのが、元・Bテレの石上五郎(津川雅彦)。

Bテレが「業績不振で最悪」ということで、「コンサル」として再び呼び戻されたのだという。

「相も変わらずゴールデンに頼った、つまり若者の視聴率に頼った昔ながらのゴールデン神話、これもうそろそろ崩壊してるんじゃないか」

おっと、久々に出たテレビ局批判!

以前、「湾岸テレビの月9は今はさんざん」なんてフジテレビをディスってたけど、「振り返ればどの局もいなかった」というBテレも明らかにフジテレビがモデルだろう。……湾岸テレビに統一じゃダメだったのかな?

とにかく石上は、若者メインの番組作りから脱却するべく、40年前のバラエティ番組『しのぶの庭』を復活させるため、MCだった及川しのぶ(有馬稲子)の様子をうかがいに来たのだという。

若干ボケちゃってるので、これまでほとんど話に絡んでこなかった及川しのぶにやっとスポットライトが!

いち早くこの話を聞きつけた及川は、久々の仕事にメチャクチャテンションが上がっているのだが、やはりヤバイ雰囲気全開でどう考えてもMCなんて出来そうにない。

一番ボケちゃってる人のところに仕事の話が舞い込んでくるという……なんちゅう意地の悪い、ゾワゾワする展開なのか。

やすらげない郷になっちゃうわよ!


そしてもうひとり、石上と共に「やすらぎの郷」を訪れたのが、かつての演技派女優・犬山小春(冨士眞奈美)。

一時は賞を取りまくるなどバツグンの女優だったようだが、何度も自殺未遂事件(でもマンションの2階から飛び降りるだけ)を起こすなど、トラブル続きでテレビから干され、ハリウッドに進出するも、消息不明となっていた。

バーで菊村と遭遇した犬山小春(現在はKOHARUと名乗っている)は、ハリウッドの役者たちがいかに努力しているかを語るのだが……、

「日本だとちょっと顔が売れてたり、かわいかったりするとすぐにテレビで良い役につくけど」

「(日本では)有名になると、遊ぶのが忙しくてトレーニングする人なんてめったにいないけどさ。あっちじゃ超有名なスターたちが平気でスタジオで勉強しているよ」

「日本の役者は遅れちゃってるよ、悲しいけどすごく遅れちゃったね」

これまた明らかに倉本聰による日本の役者ディス! 

まあ、モデルやアイドル出身の役者ばかりになっちゃっている日本のテレビドラマの状況を苦々しく思う気持ちはメチャクチャ分かる。

日本では演技派として名を売ったKOHARUもハリウッドでは箸にも棒にも引っかからず、現在では仕事もなく完全に落ちぶれている。

……ということで「やすらぎの郷に入れないか」と頼みに来たようなのだ。

これまで「長年テレビ業界に貢献してきた人」という漠然とした基準は示されてきたけど、貢献度をどのように決めているのか謎だった「やすらぎの郷」だが、結構システマチックに決定している模様。

入居審査会なる組織がその人物を評価し、「やすらぎの郷」側から声をかけて入居を勧める「Aランク」。空き室が出来たら検討する「Bランク」。そして、入居をお断りする「Cランク」と、ランク付けしているのだ。

その結果、KOHARUは「Cランク」でバッサリ入居を断られてしまった。……意外とシビア!

賭博行為で何度も捕まって業界から干されていたマロ(ミッキー・カーチス)すらも入居できているのに……。

マヤ「あの人、ここに入る気だったの!?」

冴子「冗談じゃないわよ! あんなのに入られたら私の方が出ていくわよ」「やすらげない郷になっちゃうわよ」(アンタらもだいぶ菊村のことをやすらげない感じにしているけどな)

なんてヒドイことを言われているくらいだから、相当性格に難があるのだろうが。

「やすらぎの郷」の老女優たちの中でも、特に及川しのぶとは因縁が深いようで、「あいつだけは許せないんだから」とのこと。

しかし『しのぶの庭』復活を実現させるため、石上が面倒を見ているKOHARUにいい顔をしておかなければならない及川と、「やすらぎの郷」に入居したいと思っているKOHARUの思惑が一致し、ふたりは再会することとなるのだが……。

ボケた老女優と、性格の悪い落ちぶれ老女優の再会。コレは何かが起こらないわけがない。……というところで第10週へ続く!

再放送や総集編が心配です


しかし……やっちゃいましたね、橋爪遼(橋爪功の息子)。

出演者の年齢層が高いドラマだけに、何かトラブルがあるとしたら高齢キャストの体調不良とか……と心配していたのに、まさか覚醒剤で逮捕される人が出てくるとは。

「やすらぎの郷」で働く前科アリの介護士・竜村剛役を演じていたら、ホントに前科持ちになっちゃったよ。

ほとんどセリフもないチョイ役だったので、ドラマ自体に大きな影響はないとは思うが、撮り直さなければならないシーンが出てきたりしたら……老人たちに負担をかけるなよ!(BSテレ朝の再放送では、さっそく上手いこと編集して消してましたね)

そして、橋爪功が「やすらぎの郷」に入居してくる展開はなくなっちゃいましたな。
(イラストと文/北村ヂン)