画像提供:マイナビニュース

写真拡大

北海道大学は、腰の負担に応じて骨盤ベルトのように骨盤を締め付け、前屈時や荷物の持ち上げ時に腰にかかる負担を軽減するアクティブコルセット「アシストウェア」を開発したと発表した。

「アシストウェア」は、北海道大学大学院情報科学研究科の田中孝之准教授らの研究グループとニコンとの共同研究で開発されたもので、同研究結果に関する論文は9月に開催される第35回日本ロボット学会学術講演会にて発表される予定となっている。

同研究グループは、作業により身体にかかる負担と疲労を軽減することで、疾病リスクを低減する取り組みを行っており、2015年にはニコンとの共同研究で、どのような負担が作業者にかかるのかを詳細かつ容易に察知することができる「センシングウェア」を開発し、介護現場で介護者の腰の負担をリアルタイムに計測し、管理することに成功している。

今回開発された「アシストウェア」は、骨盤ベルトやコルセットのように取り付けることが可能となっている。腰の負担を計測する「センシングウェア」と同一のセンサに加え、コントローラとモータを内蔵し、4時間駆動リチウムイオンバッテリを含めて755gと軽量であり、かつ柔軟素材でできているため、違和感なく装着できるという。

いわゆる腰痛症を発症した人や、腰に不安を抱えている人は、作業時にコルセットや骨盤ベルトを装着している場合も多く見られるいるが、常に締め付けることによる筋力低下等の逆効果も懸念されている。アシストウェアは、腰仙椎にかかった負担を的確に計測し、負担に応じて最大約8kgf(一般的な骨盤ベルトは5kgf程度)の力で骨盤を締め付ける、また、センサから得られる情報によって腰の負担の増減を予測し、予め危険な作業動作や姿勢を察知して腰部を適切に締め付けることもできる。

なお、骨盤ベルトで骨盤を締め付けることによる効果は、レントゲン撮影によって確認された。骨盤を通常違和感がない程度に締め付けることで、腰仙椎の位置や姿勢が整えられ、立位姿勢では腰の負担が約20%軽減することが確認できた。また、前屈時にも骨盤を締め付けることで、一般的に良い姿勢とされる、背筋が伸びた状態で腰を屈めることができ、立位から前屈姿勢までの前屈動作全体において腰の負担が約10%軽減されることが確認できたという。また、荷物持ち上げ前屈動作における心理物理実験を行い、その姿勢を維持するために安心する骨盤ベルトの締め付け力が、計測される腰部負担に伴って増加することも確認された。このデータに基づいて、アシストウェアで最適な締め付け力を制御することが可能となったということだ。さらに、計測される動作情報から、約1秒先の腰部負担を予測することを実現。これによって、事前に腰の負担増加を察知し、予め腰を締め付けることで、負担を軽減することができるようになっている。

「アシストウェア」は、介助作業での前傾姿勢や、荷物の持ち上げ作業時に腰の負担を和らげることができ、装置全体をコンパクトにしたことで、作業着の中に装着しても目立つことなく、違和感なく装着することができる。今後は、介護施設や労働現場で活用できるツールとしての展開を見据え、現場での実証試験が予定されている。また、作業中の腰負荷データを蓄積してビッグデータ解析することで、さらに作業現場に適したインテリジェント腰部負担予測システムを構築し、発展させていくということだ。