インターハイの県決勝ではゴールを奪えず反省を口にした新井。2度目の本大会での飛躍を誓った。写真:森田将義

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 今年の高校生ストライカーといえば、U-20代表にも選ばれる長崎総附大附のFW安藤瑞季(3年)や、柏レイソルU-18から青森山田へ電撃移籍したFW中村駿太(3年)、さらには高校選抜にも選ばれた185センチの大型FW町野修斗(履正社/3年)の名が挙がるが、北信越にも忘れてはいけない男がいる。市立長野の10番を背負うFW新井光(3年)だ。
 
 高度なテクニックとスピードを兼ね備えたアタッカーで、本人が自信を見せるのは「動きながらのプレーと、ワンツーでの崩し」。試合では、憧れの選手として口にする日本代表MF、香川真司を彷彿とさせるプレーも少なくない。その能力の高さは、中学時代から世代別代表の常連だったことでも明らかで、AC長野パルセイロU-18へと進んでからもU-16日本代表に選ばれていた。
 
 世間での知名度を大きく上げたのは、高校2年目を迎えた昨年以降。3月に入って、市立長野に転入すると、6月にはインターハイ予選で活躍し、チーム史上初となる全国大会出場に貢献した。年代でもトップクラスの実力を持つ彼をプロが放っておくはずがなく、今年のオフシーズンには、湘南ベルマーレの練習に参加し、4月には特別指定選手となった。
 
 ひとつ上のカテゴリーで揉まれた経験はプレー面でも活きており、「湘南さんのトレーニングに参加させてもらって、ゴールへの意識が格段に上がった」(芦田徹監督)。高卒でプロに進んだルーキーふたりの存在も大きく、新井は「杉岡大暉くん(市立船橋→湘南)はU-20ワールドカップに出たし、(齊藤)未月くん(ユースから昇格)も試合にバリバリ出ている。身近な選手が活躍している姿を見ていると刺激になるし、自分も早く試合に出て活躍したいとも思う」と話す。
 
 インターハイ予選2連覇をかけて挑んだ松本一との県決勝でも、確かな成長が見て取れた。
 
 新井が「動きの面ではすごく調子が良かった」と振り返ったように、開始直後から切れ味鋭いプレーを披露。マンマークで対応された相手の守りを苦にすることなく、試合序盤から積極的に相手ゴールへ仕掛けて決定機を作ったが、ゴールは奪えなかった。
 
 後半に入ってからは2ゴールの起点となり、他との違いを見せつけた。それでも、「湘南のスタッフさんから、『このポジションは得点という結果を示さないと、残っていけない』と言われ、これまでよりも得点にこだわるようになった。チームが勝てたのは良かったけど、準決勝から決めるべき場面で決め切れず、本当に悔しい」と、笑顔はなかった。
 
 本人としては満足のいかない結果だったかもしれないが、プレー面以外での成長が見えたのは見逃せないポイントだ。
 
「湘南の練習に行き始めてから、ガラッとひとが変わった。プレスのスピードが速くなっただけでなくて、精神面も逞しくなっている。練習が緩んでいたら、『もっとやろうよ』と声をかけたり、みんなを引っ張る声が出るようになった。いまは『チームのために』という気持ちを光から感じて、大人になったなって思う」
 
 そう評するのは、中学時代からプレーを共にする主将のGK吉田泰地(3年)。この試合でも、「集中しろ」、「引き締めろ」などとチームメイトを鼓舞しながら、難しい時間帯を乗り切る原動力となった。
 
 間違いなく、今年の高校サッカー界における注目株だ。2度目のインターハイに向けて着実に準備を進めている。あとは、「自分がゴールを決めて、ひとつでも多く勝つ」という目標を果たすだけだ。
 
取材・文:森田将義(フリーライター)