ECB(欧州中央銀行)による量的緩和政策の方針が転換されるのではないか・・・、そんな思惑からユーロ相場が動き始めている。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さん(写真)に6月相場の動向をうかがった。

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 ECB(欧州中央銀行)による量的緩和政策の方針が転換されるのではないか・・・、そんな思惑からユーロ相場が動き始めている。その一方で、トランプ政権の混乱や北朝鮮絡みの地政学リスクが続く米国では、今年2回目となる金利引上げが予想されており、外為市場は大きく動きそうだ。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さん(写真)に6月相場の動向をうかがった。

――6月、米国の金利引上げはあるのでしょうか?

 今年の3月に金利を引き上げたFRB(米連邦準備制度)が、この6月にも今年2回目となる金利引上げを行うのか、市場では大きな注目を集めています。その鍵を握るのが米雇用統計ですが、6月2日に発表された5月の「非農業部門雇用者数」は13万8000人、市場予想の18万2000人増から大きく後退しました。

 その反面、家計調査に基づく5月の失業率は4.3%で、前月の4.4%から改善しました。4月、5月と2か月連続で雇用者数が減少したわけですが、市場関係者の多くは「雇用の伸びはやや期待外れだが、6月の金利引き上げはあるだろう」と見ていると思います。

 実際、6月13日-14日に実施されるFOMC(連邦公開市場委員会)で、0.25%の金利引上げがあるのではないかと見られます。米国経済は、ニューヨークダウなどの株価指数が史上最高値を更新するなど、好調なところを見せていますが、その一方でトランプ政権がパリ協定からの離脱を決め、北朝鮮などの地政学リスクも一向に収まる気配がありません。

――トランプ大統領への弾劾、北朝鮮問題ともに為替はどんな動きになるのでしょうか?

 両方とも「円買いリスク」になると考えていいと思います。なぜ、北朝鮮のミサイルが日本の排他的経済水域に落下したにもかかわらず、円高になるのかよくわからないかもしれませんが、とりあえずは安全通貨と言われる円買いに動くと見られます。

 ロシアンゲートと呼ばれるトランプ政権に対する追及も、ドル売り=円買いになるため、しばらくドル円相場は1ドル=111円前後で神経質な動きになるのではないかと思っています。

 日本国内の動きとしては、6月15-16日に日銀の金融政策決定会合が実施されますが、とりあえず大きな動きはないとみています。ドル円相場の6月の予想レンジは、1ドル=109円-113円と見ています。

―-欧州ではECBの出口戦略が始まるのではないかと注目されていますが?

 とりあえず6月8日に実施されるECB理事会の結果を見ないと分かりませんが、急に出口戦略に向かって動き始めるとは思えません。実際、先月の欧州議会でドラギECB総裁は、「異次元の量的緩和はまだ必要」と証言しています。

 ドイツのメルケル首相は「(ユーロは)弱過ぎる」と発言しており、それなりにECBのテーパリング(緩和縮小)の環境は揃いつつあるのかもしれません。とはいえ、すぐに量的緩和の縮小が実施される可能性は低いと思います。段階的なテーパリングを示唆したうえで、実際には年末辺りに実施になるのではないかと考えています。金利引上げとなるとまだまだ先の話になるんじゃないでしょうか。

 欧州といえば、フランス大統領選挙で中道のマクロン氏が勝利するなど、ひとつのハードルを越えた感があります。6月11日、18日の2日にわたって実施される国民議会選挙も注目はされているものの、大きなサプライズにはならないと思われます。ユーロ市場の予想レンジは、ユーロドルで1ユーロ=1.09ドル-1.14ドル、ユーロ円では1ユーロ=121円-126円と考えています。

 また、ブレグジット(EU離脱)を進めている英国では6月8日に総選挙が実施されます。本来なら2020年だった総選挙ですが、メイ首相はブレグジットを進めるうえで、強固な政権基盤が必要と考えて3年前倒しでの実施を決めました。当初は、メイ首相率いる保守党の圧勝と見られていましたが、「接戦」という報道も出ており要注目です。英国ポンド円の予想レンジは、1英国ポンド=138円-145円と見ています。