55061票という、今年で9年目を迎えたAKB48シングル選抜総選挙の歴史が始まって以来、誰も達成しえなかった記録的数字をNGT48チームN掘Σ野由佳(おぎの・ゆか/愛称:おぎゆか)は、2017年5月31日の速報で残した。

速報発表当日、NGT48劇場内で順位が発表される度に、荻野は顔が青ざめていった。いつまで経っても自分の名前が呼ばれない。18位を過ぎたあたりでは、隣にいた中井りかに「もう無理…」と思わず呟く姿も見受けられた。しかし、蓋を開けてみればこの結果だ。会場内は拍手と歓声の嵐。柏木由紀は大きな瞳を倍に見開き、メンバーは我がことのように喜び荻野の元へ駆け寄った。

公演終了後も熱は冷めず、各メンバーのSHOWROOMでも話題に及び、キャプテン・北原里英は自身の悔しさを噛みしめるより早く「驚いた!」と語り、盟友・西潟茉莉奈(速報34位)も「おぎ、すごい!!ビックリ!!」と繰り返し讃えた。

大波乱、奇跡、番狂わせ…この結果につけられた見出しの多くは、「予想外」であるという反応。各メディアも同様「荻野由佳とは何者?」と、いくつもの「?」を持った状態で新星を迎え入れた。一方で山口真帆(彼女も速報24位)は自身のSHOWROOM(5月31日配信)で「1位は誰だ!?となったとき、私1位はゆかちゃんな気がしてた」と語る。驚きはあったが、「何故?」ではない。荻野はこの票を得るに相応しい活動を繰り広げてきた。だからこそのこの結果だったと言っていい。

彼女がいかにして人を惹きつけて止まない存在であるかは昨年、当サイトにて記した通り。むしろ、あの日の記述以上に魅力は増している。

「この1年の中で、AKB48グループの中でどのメンバーよりも、誰よりも、ファンの方と寄り添って活動してきたと胸を張って言えます」そうSHOWROOMで語った荻野。まさに、この1年の彼女はファンに寄り添い、ファンのために活動してきた。

ハイテンションの極みのような全力対応の握手会(先日放送された「めざましテレビ」そのままだと想像していただきたい)は、ただ全力なだけでなく、自ブースに画用紙や折り紙などを駆使して作られた自作の飾り付けをし、さながら「由佳の部屋」とでも言うべき空間を作りだしてのおもてなし。対応だけでなく、五感を駆使して楽しませる。加藤美南も荻野の握手対応を発売中の「月刊エンタメ」(徳間書店刊)最新号にてベタボメ。

彼女のSHOWROOM配信は、荻野曰く「ウルさくアホな配信」という配信。後方壁に掲げられた「ゆかの遊び場」という看板(正確には張り紙)の通り、荻野とファンとの「あそび」の空間と化している。自作の小道具を使っては目を飽きさせず、喋っては喜怒哀楽を全開にし、どんなコメントすらも拾っては打ち返してかき乱していく。空回りしても、グイグイと突き進む。その勢いに圧倒される人も次第に笑顔にさせてしまう。力強く、情熱的。賑やかで目に耳に楽しい掛け合いを展開。わずか数十分の中に荻野由佳という人柄と素晴らしさが凝縮されている。

荻野は口癖のように「もっとみんなに楽しんでもらいたい」と語る。この精神を毎日のように爆発させる彼女が見る人、触れる人の心をグッと掴み、熱狂的なまでの支持を集めるのは自明の理。「他に取柄はないけれど」と自嘲するが、ファンのことを考えるのは自分が1番だと言いきる。この気持ちこそ荻野の最大の武器、魅力と言っていい。

ファンに向けての熱だけでなく、共に歩むメンバーへの愛も深い。速報発表直後のSHOWROOM、ファンへ向けての感謝と共に、「NGT48全員の応援をお願いします(中略)言いたいことはNGT48には本当に個性的で魅力的な子がイッパイいます!だからNGT48の魅力にイッパイ気が付いてほしいです!!」と、時間をタップリと使い力強く語った。配信終了までNGT48をよろしくお願いします!と叫び続けた荻野。次の日の放送ではまるで自分のことかのように、メンバー一人ひとりの魅力を熱く語りだした。AKB48を愛し、AKB48を超えるためにNGT48に加入した荻野、だからこそ共に歩む仲間を大事にするのだろう。全てはNGT48とその下に集ったメンバー、そしてNGT48を応援するファンのために。この高い志を持ち2年の時を活動してきた荻野だからこそ、今回の嬉しい速報結果が待っていたに違いない。

ドラフト合格の際「NGT48が1番と思ってもらえるようなチームにできるように引っ張って行きたい」と語った荻野。まさに今有言実行の時が訪れた。

「目標は33位のネクストガールセンター」

その高き壁に今、荻野は手を掛けている。

現在11名が速報にランクインを果し、本戦の開票ではさらなるNGT48旋風が吹き荒れる予感。その大きな風を、荻野が沖縄の地で呼び込むのは間違いない。(田口俊輔) 写真(C)AKS