日曜ドラマ「フランケンシュタインの恋」(日本テレビ 日よる10時30分〜)
脚本:大森寿美男 演出:茂山佳則


「フランケンシュタイン、120歳です」


大好きな天草(新井浩文)に誘われて、東京に行った研さん(綾野剛)。憧れのラジオ番組「天草に訊け!」に出演する。
十勝みのる(山内圭哉)に「なんで人を殺そうと思ったのか」と聞かれ、「僕が弱いからです、自分に対して不安になるからです」と答える研さん。
ラジオから全国に向かって「僕は人間じゃないんです」と自分の生い立ちを語りだす。
だが、彼の言うことをほとんどの人が信じない。作り話だと捉える。そういうキャラ作りだと。悪魔年齢○歳とか、○○星から来ましたとか、芸能人の売り方のひとつと思われてしまう。

研さんはさらに続け、恋する津軽(二階堂ふみ)のことを話す。彼女のように強い人間になりたい。

どうすれば、人間のことを知って、強くなれるか。「彼女を守るために」人間を知り、もっと変わりたい、と言う研さんの話を、ラジオで聞いていた鶴丸(柄本明)は「彼はそうとう頭がいいねえ」と感心。
ラジオの特性を把握していて、嘘つかなくても平気だと判断したんだろう、愛情の自覚が、彼の適応能力を高めた、と分析する。
研さんは、人間の世界には、“キャラをつくる”という生き方があるということまで、学んでしまったのだろうか。だとしたら、すごい。

人間の世界を知っていく研さん


リスナーの反響がすごくて、レギュラーコーナーをもつことになってしまう研さん。
世の中には、自分のことを人間じゃないと悩む人がたくさんいて、研さんに共感したのだ(いく割かは、ホームページに載った研さんの写真がかっこよくて食いついた)。
リスナーに呼ばれてあちこちに行く研さん。
まずは、コンビニ体験。コンビニ定員が人間扱いされてないと思うことがあるという投稿があり、研さんは、クレーマーに対処する。

次は、離婚調停中の夫婦。彼らは流行りの(?)W不倫中だが、「ほかの人に恋してるのに、嬉しそうじゃない」と研さんは鋭く指摘。そこから、恋にもいろいろあること。「嬉しい」と「悲しい」と「虚しい」という感情を知る。

「恋の正体は悲しい」「悲しいより虚しい」「裏切られたら悲しい」「最初から信じる価値のないものが虚しい」・・・悲しいとか虚しいとかについて、津軽(二階堂ふみ)と語る研さん。
椅子の座面に置いた、ふたりの手がかなり近いが、つなぎそうで、つながない。

3人目は、義足の幼稚園児。義足のせいで「怪物」と言われ悩んでいた彼は、義足でもがんばって走ることに挑む。研さんは「怪物とは強い人間である」と語りかける。

番組は成功したように思われたが・・・


リスナーの反響は良い。だが十勝は、番組の成功をねぎらう食事会の席で、研さんの作り出す感動は要らないと、頭ごなしに否定する。
彼の求めるラジオは「聞いてる人の日常に寄り添う」もので、どんなにつらく悲しいことがあっても、「ラジオにだけはくだらない日常が流れている」もの。でも、研さんのやってることは過激で、日常をかき乱すことだと言う。
「嘘の日常。感情をあおって、テレビのバラエティーみたいにその場がおもしろければいい」なんてものは
「虚しい」「ラジオの敵や」とまで言われて、研さんは久々に感情を乱し、菌を発生させてしまう。そういえばもう布団にキノココーナー(コーナーではないが)はなくなったなあ。

横暴なコンビニのクレーマー客に接しても感情を抑えることができた研さんだったが、「虚しい」という言葉に反応。「悲しい」よりもマイナスな言葉「虚しい」を学んでしまったから、自分が人を「虚しく」させていると思ったらショックだったのだろう。

で、菌が沸いてきた研さんを、十勝が見てしまい、さてどうなる? というところで、7話につづく。

奇才・中島らも(ラジオをやったり、文筆業をやったり、音楽をやったり、演劇をやってた、とても自由で、とても別け隔てのない、懐の大きな、へんな人)と親交のあった山内圭哉が、ラジオとリスナーについて語るところは、なんだか説得力がある。十勝はいまのとこ、なんだかいやな人に見えるが、彼の語るラジオの理想は悪くない。ただ、十勝が残念なのは、意外と表層的で、研さんの本質を見ていないことだ。

研さんの東京みやげは“ひよ子”だった。


ひよ子の紙袋を見て、もしや、朝ドラ「ひよっこ」の応援か? という想像がもたげた。
というのは、「ひよっこ」の脚本を書いている岡田惠和は、「フランケン〜」の河野英裕プロデューサーとよく仕事している(「銭ゲバ」「泣くなはらちゃん」「ど根性ガエル」など)からだ。
さらに言えば、NHKで放送した河野×岡田のタッグによる「奇跡の人」(16年)の主役は「ひよっこ」の茨城のへんなおじさん・峯田和伸である。
ついでに、「フランケンシュタイン〜」の脚本家・大森寿美男も、朝ドラを書いている。「てるてる家族」だ。奇しくも、拙著