【Candy Boy×Suits WOMAN】年齢=彼氏いない歴の真面目なアラサー女子・優。イケメンと胸ドキなルームシェア?〜前編〜
働き女子はいつだって優しい癒しを求めている。だから、甘めでゆるめなラブストーリーをCandy BoyとSuits WOMANがプレゼンツ。今回の主人公は、年齢=彼氏いない歴の真面目なアラサー女子・優。
私、おじさんだらけの辞書編集部で働いているOL、中村優・31歳。中学からの女子校育ちで、大学も女子大出身。これまでの人生で気になる人は何人かいたけれど、恋愛の仕方がわからずに、気付けば年齢=彼氏がいない歴になっている。
恋愛に対して苦手意識が生まれたのは、小学生時代の初恋。クラスで好きだった男の子にバレンタインチョコを渡したら、翌日クラス中に広まり、からかわれた。チョコを渡した彼が友達に「ガリベン優からもらっちゃってさあ、あいつもこんなの渡すんだ」とか話したらしい。この時のトラウマがそのままずっと続いて、中学も高校も自分から男の子に話しかけると、緊張するようになってしまった。そして恋心を抱くという行為を自分の中で恥じるようになった。
中学と高校では吹奏楽部に入って、フルートを担当していた。学生時代は、部活に没頭していたので、恋愛については忘れることができた。でも、たまに合同演奏会で他校の男子生徒に休憩時間に話しかけられたり、記念写真を撮ろうと言われても、どう対応していいのかわからず必要以上にドキドキしてしまったものだ。そしていつも、自分にはまだ恋愛が早すぎると思うようにしていた。
気づけば、高校3年間彼氏ナシ。女子大学には付属の生徒以外に、共学の高校を卒業した女の子達も入学してきた。最初は遠慮しがちだったけど、彼女たちと仲良くなっていくうちに「もしかして、ずっと彼氏がいなかったの?」と心配されるようになった。女子校時代の同級生たちは、自分みたいに彼氏がいない子も珍しくなかったから、そんなに不安になったりしなかったけれど、外の世界から見ると私はどうやらかなり奥手なタイプなんだと認識した。
就職は、憧れだった出版社を思い切って受けてみたら、ラッキーなことに採用された。口述面接で丁寧な日本語を使えていたのが決め手となって、一番地味だと噂されていた辞書編集部に配属が決まった。周りはおじさんだらけの編集部で、ひたすら辞書の意味を調べたり、考えたりする毎日。働くようになったら、男性とコミュニケーションをとれるようになって恋愛もできるかもしれない、と思っていたけど、この環境では恋愛対象になる男性もいない。
男性っ気がないのを心配した女子大時代の友人たちが合コンを開いてくれたけれど、緊張しすぎてサラダのとりわけをこぼしてしまったり、「休みの日は何をしているの?」という会話の流れで、自分の連絡先を聞かれているのに気づかず無視してしまったり……。やっぱり、自分にはまだ恋愛が早いのかもしれない。だって、よく知らない男性と何を話せばいいのかわからないし、恥ずかしい。
そんな中、銀行員の父が、定年退職を機に家を売って念願の田舎暮らしを始めると宣言。専業主婦の母と一緒に、実家を畳んで海の近い地方に移住してしまった。突然の一人暮らし……無理無理無理!
心配で胸が押しつぶされそうになっていると、母が「ラ・メール 」というシェアハウスを見つけてきた。フランス製の家具付きの素敵な部屋で、ひまりさんというオーナーさんとルームシェアなので、セキュリティーも安全だとか。女性のオーナーさんか、うまくやれるといいな……と思いながら、早速契約を済ませ、引っ越しへ。
「ようこそ、ラ・メールへ!オーナーのひまりです。よろしくお願いしますね」
オーナーのひまりさんって、女性ではなくてこんなイケメンだったなんて!ドキドキで心臓に悪いです!
引っ越し当日、私の目の前に現れたのは女性と見まがうほどキレイな、男性だった。ルームシェアのオーナーのひまりさんって男性だったの?こんなイケメンと同じ空間で暮らすなんて、ドキドキしすぎて心臓に悪すぎます……。
彼氏いない歴31年にはハードな、男性と一緒の空間
「優さんって、こんな可愛らしい女性だったんですね。僕は男性と勘違いしてしまいました。すみません」
「可愛らしい」……今まで言われたことの無い台詞だ。嬉しいけれど、どうやら「優」という名前が男性と間違えられて、この「ラ・メール 」へ入居が決まったのかもしれない。落ち着いて、今自分がどうすべきか考えなくては……、恋愛経験皆無の自分なんかが男性と一緒に住めるのか?でも今すぐ違う引っ越し先を探すこともできないし、お金も既に払ってしまった。しばらくはここに住みながら、ひまりさんと住むのが耐えられない場合はすぐに引っ越し先を探すことにするか、様子を見るか。と、考えていたところ、「荷物はこれだけですか?」と声がする。
「重そうだったので、さっき部屋に運んでおきましたよ。他にもあったら僕に言ってください」
華奢に見えても、重い荷物も軽々と運ぶ姿は頼もしい!
嫌な顔をせずに、荷物を持つのを手伝ってくれるひまりさん。会社には枯れたおじさんしかいないから、力仕事も全て自分でやっていたけれど、男の人って重い荷物も軽々持てるんだ。
一通り荷物を片付けたら、すっかり夜になってしまった。「今日は僕が引っ越し祝いの料理を作りますね」とひまりさん。気も効くし、料理もできるなんて……私よりも女子力が高いなあ。
家で男性に料理を作ってもらうなんて、生まれて初めてかもしれない。
「今日、引っ越してくるって聞いていたので。優さんに、美味しいものを食べて貰いたいと思っていたんです」
作られたパスタは、今まで私が食べたどのパスタより美味しかった。男性と食事なんて、自分の経験値には無いから緊張していたけど、ひまりさんがニッコリ笑顔で微笑んでくれるから、なんとなく緊張もほだされていく。食後にひまりさんが私の目をじっと見て、「実は、優さんの部屋の家具がまだ届いていないんです……。ベッドも無いので、今日は僕のベッドで寝て貰えますか?僕はこのソファで寝ますから」
流されるままに、ひまりさんのベッドを私が使い、ひまりさんはソファで眠ることになった。初日から難易度高すぎる……慣れないことだらけだ。緊張しながらベッドに入ったら、ほんのり洗剤の良い香りに包まれた。眠れないかも……と思っていたけど、昼間の疲れが出たのかすぐに眠りに落ちてしまった。
「ラ・メール」に来て、初めての朝。いつもと違う風景にドギマギしながらリビングに下りると、ひまりさんはリビングにあるソファに横になって寝ていた。男性の寝姿なんて、初めて見る。綺麗な肌にすっとした鼻筋。思わず触れたくなってしまう。ん?私にこんな感情なんて存在したの?ここに来てから、何かがちょっとずつ変わってきているような気がする。
思わず触れてしまいたくなるような、ひまりさんの美しい寝顔!
高齢処女・優のシェアハウス生活はどうなるのか?さらに変化の波は職場にもやってきた!職場に年下のカワイイ系男子が配属されて……!後編につづく。
Starring:松本ひなた