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 2017年5月10日、厚生労働省・労働基準局監督課は、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を発表した。いわゆる「ブラック企業リスト」だ。しかし、リストに掲載された企業群が氷山の一角であることは誰の目にも明らかだ。ブラック労働に苦しむサラリーマンはまだまだ多く存在する。

「自分もかつて1日20時間働くサラリーマンだったんですが、ある日突然、歩けなくなりまして。医者に診断してもらったら『背骨が疲労骨折している』と言われました」

 自身の体験を振り返るのは、ITベンチャー企業で働いていた渡邉輝明さん(31歳)。ハードワークがたたり身体を壊した結果、退職を余儀なくされ実家で療養に専念することに。

「しばらくは傷病手当の16万円が出るものの、それ以降は収入のあてがなく、貯金もほとんどない状態で。ヤバイ、このままじゃ人生終わると、相当焦ってました」

 ベッドの上でネット検索を駆使して、渡邉さんがたどり着いたのが、「インターネット物販」。つまり海外ブランド品の転売だった。

◆ベッドの上から世界と取引する

 渡邉さんが目をつけたのは「BUYMA」という販売サイト、そこで海外ブランドを取り扱うバイヤーとして実績を積むことにした。とはいえ、手持ちの現金はほとんどなく、限度額100万円のクレカが1枚あるだけの状況。「クレジットカードのショッピング枠で商品を仕入れて販売するので、資金繰りは常に綱渡りでした」と、自転車操業ならぬ自転車“創業”のスタートとなった。

 もともと海外ブランド品について詳しいわけでもない渡邉さんは、ネットで見つけたBUYMAのバイヤーをメンターと見込んで連絡を取り、ブランド買い付けイロハを学んだ。

「教えに従って、まずはアメリカ在住のビジネスパートナーを探しました。現地のアウトレットで仕入れをしてもらうためです。この仕入れ方法は当時のBUYMAトッププレイヤーと全く同じやり方で、素人が現地パートナーを見つけて、海外仕入れルートを確立できたのは幸運でした」

 渡邉さんが転売を開始した当時は、消費税増税直前ということもあり、ブランド品の駆け込み需要が旺盛だった。渡邉さんが仕入れたアメリカブランドは飛ぶように売れ、開始2か月半で月の利益は130万円を越えた。骨折も完治し、体調も快復。順風満帆かと思った転売業だが、そこに暗雲が……。

◆順調だった売上がいきなり4割減

 当時を振り返って渡邉さんはこう語る。

「BUYMAで売れてる商品は『人気順』でソートすれば一発でわかるんですよね。だからソート結果を見て、私と全く同じ商品を仕入れて100円安い価格で出品するライバルが、3、4人現れました」

 渡邉さんがBUYMAに出品している商品数は約1000点。それをそっくりそのままモノマネ出品するライバルまで出現した。同一商品を扱う以上、差別化できるポイントは価格のみとなり、たちまち値下げ競争に巻き込まれる格好に。結果、売上は4割も下がってしまった。

「上手く行ってる人をモデリング(真似)するのは、新規参入者にとっては合理的な戦略です。だからパクる側が悪いのではなくて、パクられるようなやり方をしている自分に問題があると考えました」

◆モノマネされない2つの参入障壁

 対策として容易にパクられない参入障壁を築くことにした渡邉さん。その方法とは?

「2つのアプローチを試みました。ひとつは、ブランドの卸しの権利を取得することです」

 とはいえ、個人でそのようなことが可能なのだろうか?

「実は個人でも卸取引は可能です。ブランドサイトの最下部に『wholesale(ホールセール)』というリンクがあるので、そこから問い合わせのメールを送るだけです」