自衛隊の中古装備品を他国に無償できるようにする改正自衛隊法に中国メディアが敏感に反応。南シナ海問題で中国と対立する東南アジア諸国への譲渡が念頭にあるとみて、「日本側の不穏な動きは要警戒だ」としている。写真は日本海上自衛隊横須賀基地。

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2017年6月2日、自衛隊の中古装備品を他国に無償または低価格で供与できるようにする改正自衛隊法に中国メディアが敏感に反応している。南シナ海問題で中国と対立する東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国への譲渡を主に検討していると判断。「日本側の不穏な動きに要警戒だ」と指摘している。

日本政府は14年に「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、装備品の輸出基準を緩和。この原則に基づき昨年、退役した海上自衛隊の練習機「TC90」5機をフィリピンに貸与することで合意した。同国は無償提供を求めていたが、財政法には「合理的な価格を設定しなければ、譲渡もしくは貸与してはならない」という国有財産の規定があり、応じられなかった。

このため、今回の改正で財政法の特則を自衛隊法に新設。自衛隊が使用した船舶や航空機などの装備品の譲渡を例外扱いとする法案を提出し、5月26日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。

これについて、中国網は成立直後に「ASEANを抱き込み南シナ海で波風を立てる」との記事を掲載。日本メディアの報道を引用しながら、「フィリピンは改正後初の受益者になる見通しだ。日本はまずフィリピンにTC90を無償譲渡し、今後さらに東南アジア諸国に対して、捜索救助など各種訓練に用いる練習機と船舶を無償譲渡する計画を立てている」などと伝えた。

改正の背景としては「東南アジアの一部の発展途上国は財政問題などにより、他国から防衛装備品を購入できない。そのため一部の国は自衛隊の退役装備品などを有効活用することを要請している」と説明。日本政府の狙いに関しては「東南アジア諸国との連携を強化し、防衛面の協力を強化する狙いがある」などとみている。

記事の中で中国社会科学院日本研究所の高洪所長は「日本側は自国の武装力、武装力と関連する軍用・民間用装備品の生産を移転しようとしている。中古品であっても、多くの東南アジア諸国にとっては先進的で欲しがるだろう。その一方で日本は中古装備品を有効なカードとして用いる」と解説。「双方の合意のもと、譲渡される武器が決まる。中国と対抗する東南アジア諸国が必要とすれば、日本は無償譲渡もできる」としている。

さらに、記事は自衛隊を憲法9条に書き込む安倍晋三首相の改憲発言にも「任期内の改憲は安倍首相の政治の理想、最高の目標だ。安倍首相はやや調子を落とし、9条を改正すると直接提案するのではなく、加憲により内容もしくは解釈の余地を増やそうとしている」と言及。「しかし、最終的にはやはり日本に軍隊を保有させ、平和憲法を形骸化させようとしている。安倍首相は現在、最高基準から一歩後退しつつ、支持を集めようと計算している。中韓などの国は特に日本の動きに注目しなければならない」と警戒している。(編集/日向)