結局直接的な悪役となると安売り大魔王に情報をリークしていた正直屋店長(矢野宣)と高級和牛を横領していた食肉チーフだけということになる。この2人はエゴ丸出しで、いいキャラではあるのだが、やはり小物感が…。まあ、どこにでもある中小のスーパーが舞台だから仕方ないのかもしれないが。

 敵が小物すぎることを危惧したのか、終盤は売り物の肉を持って逃亡しようとする、食肉チーフと屑肉業者(不破万作)に五郎がカーチェイスを繰り広げる。このシーンだけ独立してかなり派手だ。冷凍車をデコトラで追走しており『トラック野郎』を彷彿とさせる。パトカー吹き飛ばすし、狭い道路激走するは、もうやりたい放題。この部分のメインストーリーとのスケールの違いは、観る人によって賛否がわかれるかもしれない。

 欲を言えば、その前のスーパー内での花子と肉の屑肉業者の追いかけっこをもっと見たかった気がする。キャスターを使った高速移動はまあ面白かったが、売り場の商品を使ってカンフーバトルするとか、もっとアホっぽいシーンがあってもよかったかも。でもスーパーという身近な題材を扱った作品としてはかなり魅力に溢れているのは確かだ。

(斎藤雅道=毎週土曜日に掲載)