深瀬和久(藤原竜也)たちに告発文を送っていたのは、越智美穂子(戸田恵梨香)だった。衝撃の結末にて幕を閉じた『リバース』(TBS系)第8話。やがて物語は、美穂子が隠していた真実へとスポットが当てられる。美穂子は、亡くなった広沢由樹(小池徹平)と付き合っていた。広沢と最後を一緒に過ごすことができなかった美穂子。深瀬、谷原康生(市原隼人)、浅見康介(玉森裕太)、村井隆明(三浦貴大)の目に広沢はどんな風に映っていたのか。彼は、最後の1日を楽しく過ごせたのか。彼女が深瀬たちに近づいたのは、その一心だけだった。

(参考:『リバース』のタイトルには複数の意味が隠されている? 第7話までを徹底検証

 全ての行動は、広沢のためーーその事実を知ると戸田の演技の印象は一変する。パン屋に勤める彼女は、行きつけのコーヒーショップで深瀬と出会う。正確には、出会ったのを装っていたのだが。第1話で、美穂子は「深瀬くんってどんな人?」と質問している。「つまらない。普通だよ。両親も普通だったし、学生生活も普通だったし。情けないくらいエピソードも思いつかない」。深瀬と広沢が親友だったことを知る美穂子は、この言葉をどのような気持ちで聞いていたのか。深瀬を呆然と見つめる美穂子は、深瀬に呆れていたのではなく、広沢への思いを募らせていたのだ。

 広沢が亡くなった10年前の事件の詳細を、深瀬から聞く美穂子。車の免許を取り立てであった広沢が酒を飲んでいることを承知の上で、深瀬たちは彼を運転させていた。「人殺し呼ばわりされることじゃない」、深瀬のこの言葉を聞き、美穂子は彼を憎んでいただろう。公式ホームページにて公開している戸田のインタビュー(http://www.tbs.co.jp/reverse_tbs/interview/vol2.html)を改めて読み返すと、視聴者に真相を感づかれないよう、ギリギリのラインで演技に挑んでいたことが分かる。「深瀬さんとのやり取りでは、そんな裏設定がなければ、とても平和でほんわかしたシーンになると思うのですが、美穂子が抱えている苦しみを込めて演じるとなると、その意味合いはガラッと変わります。美穂子の心情を考えながら、慎重に演じなければならないと考えています」という彼女の言葉からは、美穂子を演じる難しさが伝わってくる。

 真相が明らかになった第8話、過去のエピソードを振り返りながら、美穂子は様々な表情を見せる。広沢の三回忌、“これから”を共に過ごせなかった悲しみの表情。まだ伊予弁が抜けなかった学生時代、広沢から真っ直ぐな愛の告白を受けた時の無邪気な笑顔。そして現在、酒を飲んだ状態で乗車し、美穂子を家に送り届けようとする、10年経っても未だに反省の色のない谷原に対する、堪えきれないほどの怒りの顔ーー。

 深瀬に今までの真相を話し、警察へ出頭しようとタクシーに乗り込む美穂子は、深瀬の腕を振りほどき「全部、嘘! あなたのこと好きでもなんでもなかった」と突き放す。けれど、これは彼女なりの優しさだ。恋愛に不器用な深瀬を思い、あえて突き放すことで自分を忘れさせようとする。車内の中で一人涙を流す彼女の心には、広沢ではなく深瀬への感情もあったのだろう。天真爛漫に振る舞いながらも、過去の後悔に苦しむ、複雑な感情を持つ美穂子を、戸田は演じきっている。

(渡辺彰浩)