shimanto / PIXTA(ピクスタ)

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 不動産を購入する前に必ず知っておきたいことは多数あります。しかし、売買仲介する営業担当が懇切丁寧に解説してくれるのは、ほんの僅かです。将来的なリスクや予見される事案を仲介担当がきちんとお客様に誠意をもって、事前に説明しておく。そんな当たり前のことが確約されない今、購入者自身で確認すべきポイントをどれだけ知っているかが良き不動産選びにおいて大変重要な要素になっていると感じています。この記事を読んでいる皆様には、私が経験した仲介600件以上の成約実績をもとに、不動産購入前に何を知っておけば良いのかを解説していきたいと思います。

◆マンションごとに管理費・修繕積立金が大きく違う理由

 管理費とは、マンションの共用部分を維持するために必要な経費を賄う目的で使われます。具体的には、管理会社に支払う管理委託手数料やエレベーター定期点検費、消防点検費、清掃費、給水ポンプ清掃費、共用部電気代、共用部水道代、火災保険料などがあります。

 修繕積立金とは、将来マンション全体で外壁補修やバルコニー防水、給排水設備更新、機械式駐車場更新、エレベーターリニューアルなどの工事をするために区分所有者全員で積み立てるお金です。

 管理費や修繕積立金のマネジメントは管理会社に全部委託しているマンションが多いのが現状です。そのため、コスト削減に積極的な管理会社と無関心な管理会社とでは区分所有者が負担すべきランニングコストが全然違っています。販売されているマンションごとに管理費・修繕積立金を比べてみると金額差が歴然となります。私は現在、自分が所有しているマンションの管理組合の理事長をしていますし、過去にも理事長の経験がありますが、コスト削減を提案し、年間100万円近く管理費を削減できたことがあります。

◆修繕積立金の値上がりを加味して資金計画を

 マンションを買う前に皆さんに知っておいていただきたいことは、修繕積立金は必ず値上がりするということです。今は比較的安い金額設定になっているかもしれませんが、長期修繕計画を立てるとマンションの修繕工事費用が資金不足となる可能性があり、修繕積立金を値上げしなくてはいけないことが多々あります。だからこそ、10年、20年経過した不動産は、どのくらいまで修繕積立金が上がっているのかを把握する必要があります。同エリアにある複数のマンションを見て、修繕積立金のおおよそ金額帯を把握してください。そこで、築年数が10年経過するごとにどのくらいの差が出ているかをご自身で確かめてみてください。そうしておくと、購入したい不動産が出てきた際に、どのくらいまで修繕積立金が上がる可能性があるかを予見することができます。

 住宅ローンを組む場合に、管理費・修繕積立金などが上昇するリスクを踏まえて購入を検討する必要があります。

 今回学んだことを活かして、不動産の売買仲介担当から、「本マンションはランニングコストが安いからオススメです!」なんて営業トークがあったときに、冷静な判断をすることにお役立ていただければ幸いです。

<文/井口 忠二>
いぐちただじ●株式会社シーハウス 公認不動産コンサルティングマスター、経営学修士(MBA)、宅地建物取引士、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー、修学支援アドバイザー

※記事提供:ファイナンシャルフィールド>
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