「入試マニア」は今や街の有名人

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 中国では6月7日から9日まで全国各地で一斉に大学入試が実施されるが、今年で21回目の入試に挑む50歳の男性が話題になっている。中国では大学入試は「高考(高校考試)」というが、この男性は「高考狂」(入試マニア)と呼ばれ、街中を歩くと「今年もしっかりと頑張って」などと声をかけられるほど有名人だ。「大学に合格しなければ、これまでの人生の意味がない」などと言い切っているが、志望校合格にはかなり点数が足りないようで……。

 この男性は四川省成都市在住、会社経営の梁実氏。地元の高校を卒業した後、3浪したが、志望校の名門、四川大学数学科に合格できず、いったんは大学進学を諦めて働くことにした。

 しかし、自ら興した会社が成功したあと、2001年に「25歳まで」という大学入試の年齢制限が撤廃されことを知り、再び「大学に入りたい」という気持ちが抑えきれず、再度、四川大学を目指すようになった。

 毎日、仕事を終えたあとの午後9時から11時までの2時間を勉強の時間に当てて、数学や英語、国語など入試問題を中心に取り組んでいる。

 中国の入試は日本の大学入試センター試験のように全国共通で、一発勝負。大学別に合格に必要な最低点が決まっている。昨年年6月の入試は中国全土で約940万人が受験しており、一流大学は狭き門だ。

 四川大学も政府が重点的に資金を投入する「重点大学」と呼ばれる一流校のひとつで、重点大学は国内に80校しかない。

 毎日10時間以上も必死に勉強を続けてきた受験生に、梁氏のような50歳の社会人がかなうわけはない。それを知ってか、街なかを歩く梁氏を見ると、市民のなかには「梁さん、リラックスだよ。リラックス」と励ましなのか、諦めなのか分からないような声がかかるという。

 梁氏は「ほかの人々は家を買うことなどを目標としているが、私は大学に入って勉強することが目標。死ぬまで止めない」と言っているが、現実はかなり厳しいというのが本当のところ。ネット上では「人生の目標は人それぞれだが、不可能なことに挑戦するのは、それこそ人生の時間の無駄」との声もある一方、「一流大学を卒業して、党政府高官となって出世して、腐敗にまみれるよりはまし」といった声も書き込まれている。

 この10年間、梁氏を取材し続けてきた中国紙「新京報」記者は「梁さんは試験前は『自信がある』といつも言っているが、終わると『やっぱりダメだった』と毎年言い続けてきた。今年は違って言い方をしてくれるとうれしい」などとコメントしている。