商店街の東側に位置する「はね海老」。白地に赤の看板が目立つ

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スペイン料理やベトナム料理など、多国籍な飲食店が増えてきている円頓寺商店街。東側の通り、昔ながらの和食と洋食が味わえる食堂「はね海老」がそこにある。

【写真を見る】昭和40年代に使っていたメニュー看板。値段設定に時代を感じる

■ 伯父から引き継いだ大切なメニュー

「昭和28年から営業しとるのは間違いないんだけど、詳しい創業年はわからんのだよ」と話すのは、店主の鈴木高明さん。「はね海老」はもともと店主の伯父が営業していた店で、その伯父が亡くなった後、伯母に頼まれて店を継いだそう。それが1970(昭和45)年のことだ。

店の奥には引き継いだ当時のメニュー看板があり、現在とは異なるメニューも。「私が継ぐ前はエビフライやトンカツ、オムライスが人気だったみたいだよ」と鈴木さん。伯母から聞いた作り方や味付けで、メニューのほとんどを継承した。

以前から喫茶店で調理をしていたこともあり、比較的スムーズに覚え、のちに現在の人気メニューでもある貝柱フライやカニクリームコロッケなどメニューを増やしていった。

■ 1.5尾もあるプリプリのエビフライ!

名物メニューであるエビフライはブラックタイガーを使用。鈴木さんいわく「クルマエビやホワイトタイガーも試したけど、味や食感が違うね」と、ブラックタイガーに落ち着いた。

前日に殻をむき、当日の朝にさばく。開いた1尾に斜めに切った半身をプラスして揚げるので、食べごたえがアップするというわけだ。

ランチは日替わりで2種類。エビフライに加えてトンカツや貝柱フライなど、もう1種類のフライが1皿に乗る。ランチ以外の2種盛り定食は900円。組み合わせ自由で、決められた5種類から2つを選ぶことができる。

■ こだわりの揚げ方で見た目も美しく

「フライには自信があるよ!」と話す鈴木さん。本間製パンの粗めのパン粉を付け、大豆のしらしめ油でカラッと揚げる。「はね海老」のエビフライはピンとまっすぐなのが特徴だ。

鈴木さんも「最初に高温の油で揚げるとエビがまっすぐになる。それから火を緩めてひっくり返しながら揚げる。できるだけ曲げんように、衣の色が濃くならんように」と話す。コツをさらりと教えてくれたが、それが容易ではない職人技なのであろう。

にぎわいを見せるランチタイムには息子さんが調理の手伝いに来ており、客はビジネスマンが多い。地元の常連客も少なくないそうで、3世代にわたり食べに来る人もいるとか。

過去には長い間、円頓寺商店街の理事も務めたという鈴木さん。ここ数年、新店の登場などで盛り上がる商店街について「そりゃうれしいよ!若い人も増えたしね」と。

変わりつつある商店街の中で、「はね海老」の活気はきっと変わらないだろう。【東海ウォーカー/礒永遼太(エディマート)】