中国江西省と広東省のブランド靴工場を調べた米団体員3人が、拘束されたり消息不明になったりしている。2016年8月、米ブランド「コーチ(coach)」の靴を受託生産する東莞市にある工場(GREG BAKER/AFP/Getty Images)

写真拡大

 米労働権利団体の中国労工観察(China Labor Watch、CLW)によると、中国の大手靴メーカー「華堅グループ」の労働環境を覆面調査するため派遣した調査員3人のうち、1人は公安当局に拘束され、2人は消息不明になっている。 CLWの李強事務局長がこのほど一部の情報を公開した。

 華堅グループの労働環境に関する告発を受けたCLWは、4月に中国人活動家らに調査を依頼した。グループの江西省の工場に潜入した調査員1人は5月下旬に公安当局に「違法な監視活動を行なった」として拘束され、広東省東莞市の工場の調査を行う調査員2人は、5月28日から連絡がとれなくなったという。

 CLWによると、工場の従業員は毎日の労働時間は12時間以上、週6日勤務、平均月収は2500元(時給換算で約166円)、いずれも中国の最低賃金・最長労働時間の政府基準に大幅に違反している。一方、油類などの化学物質を扱う従業員に安全生産の訓練も実施しない。CLWは、これらの証拠を盛り込んだ調査報告書を、6月中に公表するとしている。

世界的なブランドシューズを製造する工場

 華堅グループは中国各地に工場を設け、2万人強の従業員をかかえる靴製造の受託生産大手。コーチ(Coach)、ナインウエスト(Nine West)、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)、ケンダル+カイリー(Kendall + Kylie)などの海外ブランドの製造を引き受けている。 

  ロイター通信によると、調査員が潜入したこの2つの工場では、トランプ米大統領の娘、イヴァンカ氏のブランドの受託生産も請け負っていた。CLWは大統領とイヴァンカ氏に対し、中国当局に3人の釈放を働きかけることを要請したという。

 大紀元の取材に応じた中国の労働問題専門家は、国内の委託生産業界では利益率が低いため、従業員への労働詐取は普遍的で「血汗工場」とも皮肉られているが、政府当局は問題を放置していると指摘。一番の問題は、中国の労働保護の法律や労働組合は形だけのもので、先進諸国のようにしっかりと機能していない、と分析した。

  同専門家は、中国政府は覆面調査を敢行した海外からの調査員に対して、政治的な罪を着せるという常套手段を使う可能性を示唆した。

   CLWは2013年7月ごろに公表した調査報告書で、Appleの中国サプライヤーによる安全基準違反、従業員の過酷な生活環境、過剰な残業といった労働詐取を指摘した。

(翻訳編集・叶清)