ファッショニスタとしても知られるソーコ

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 モダンダンスの先駆者として19世紀末のヨーロッパで一世を風靡したロイ・フラーの半生を、歌手やモデル、女優として活躍するフランスのアーティスト、ソーコ主演、リリー=ローズ・デップの共演で映画化した「ザ・ダンサー」が、6月3日に公開される。このほど来日したソーコとステファニー・ディ・ジュースト監督が作品を語った。

 映画は女性のダンスが卑しいとされた時代に、バレエの殿堂であるパリ・オペラ座で踊るという夢をかなえるためアメリカからフランスへと渡ってきたロイ・フラーが、ドレスや光、鏡などを用いて新たなダンスを創作し、自らの信念と夢のために奮闘する姿を描く。

 今作の出演が決まるまで、ロイ・フラーについてほとんど知らなかったというソーコ。時代と闘った女性アーティストの生き様に大きな感銘を受け、自身との相似点を見出した。「ロイはダンスだけではなく、いろんなことをやった人。演出や振り付けも自分で行ったマルチメディア的な人物。科学にも興味があって、闇の中で衣装を光らせるために、化学物質にも注目したり、機械工学にも興味関心を持っていた。アーティストには夢があって、情熱を持ってその夢を実現していくもの。音楽もやっているし、なにかアイディアが浮かぶとすぐにやってみたくなるというのは、彼女と私の共通点だと思いました」

 これまでダンス経験はほとんどなかったが、自身の芸術的感性を搾り出し、技術的な特訓を経て臨んだ。「自信はなかったけれど、衣装が皮膚のようになじむように練習を重ねました。でも、ロイもダンサーになる肉体を持っていたのではなく、努力でダンサーになった人。コンプレックスを持っていた肉体をベールで隠すことによって、表現者として自分の思いを伝えることができた。隠すことによって、抽象的な存在になり、人々の想像を掻き立てて幻想を与えた。そういうところが興味深い」

 写真家としても活躍するジュースト監督は、ソーコを抜てきした経緯をこう語る。「彼女はとてもユニークな、個性豊かな人物でとても女性的な魅力を自然に醸し出しています。また、彼女はすばらしい女優でもあるし、歌手でもあり、パフォーマーでもある。そのように、いろいろな顔を持っているので、ロイという役柄とよい相乗効果が生まれると思ったのです。あとは、パンク的な要素がぴったりだと思ったの。また、彼女は嘘のないひとで、徹底的に最後まで役作りをしてくれました」

 女性アーティストとして生きることで、苦労はあるかとソーコに尋ねると「私は女性であることを意識することはないです。性別は私にとってどうでもよいこと。親は生まれてきた私のことを男の子だと思っていたほどですから。自分は女性であるということを否定することはありませんが、男の子のように走り回っていた子でしたし、強い女性と繊細な男性が好きなのです。女性らしくあること、私はそういうことを気にしたことはありません」ときっぱり。過去にクリステン・スチュワートとのロマンスが世間を騒がせたが、そのジェンダーレスなセンスが、アートやファッションなど各界から注目を集める理由なのだろう。

 もし、ロイ・フラーと話ができたら?と問うと「演じさせてくれて、チャンスを与えてくれてありがとうと言いたい。ロイが作り上げた壮大な世界の一部しか私は知らないけれど、体験させてもらえてうれしかった。あの素晴らしい衣装を着たときに、小さな鳥のような気分になって、心が解き放たれていくような気分を感じました。私たちの作った作品を喜んでほしい」とメッセージを寄せた。

 「ザ・ダンサー」は、6月3日から新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマほか全国で公開。