異性に媚びず、にらみをきかせて<I hate you>と歌った2NE1ほどの力強さはないものの、クールさとキュートさを兼ね備えているBLACKPINK。まさに「BLACK」と「PINK」のカラーをあわせもったグループだ。ファッション界からの視線も熱く、昨年11月に発売された雑誌『NYLON JAPAN』では日本デビュー前にもかかわらず表紙に抜擢。9月には『東京ガールズコレクション 2017 AUTUMN/WINTER』『神戸コレクション 2017 AUTUMN/WINTER』への出演も控える。日本デビューにあたり「次世代ガールクラッシュグループ」をキャッチコピーに掲げている彼女たちだが、若い女性が憧れの眼差しを向けるファッションアイコンへと名乗りを上げている。

・K-POP「冬の時代」は本当か? EXOや防弾少年団―アジアを越えて海外シーンと共鳴するアクトたち

新たなブームを担い得るK-POPアーティストは女性グループだけでない。韓流ブームは日韓関係の悪化や日本での反韓感情の高まりなどによって、2013年〜2014年頃に終焉したと言われているが、果たしてブームの終わりから今まで、忘れられた存在だったのだろうか?

ブームが沈静化してから日本デビューしたグループに目を向けると、東方神起やSHINeeの後輩であるEXOは2015年に日本デビューし、同年、翌年と2年連続で東京ドーム単独公演を実施。音楽ライブ情報サービス「LiveFans」が発表した2016年の日本におけるライブ観客動員ランキングでは、1位のBIGBANG、6位のSHINeeと並び、15位にランクインした(もっともこのランキングは各公演の動員数の合計で順位付けられているため、公演数が多いほど上位になる可能性が高い。BIGBANGの年間公演数が60であるのに対し、2位の嵐は32公演である)。

また2014年に日本デビューした防弾少年団は今年に入ってユニバーサルミュージックに移籍し、第1弾シングル『血、汗、涙』でオリコン週間シングルチャート初登場1位を獲得。現在は日本公演を含む40万人動員のワールドツアーの真っ最中だ。同作のカップリング曲“NOT TODAY”に代表される攻撃的なヒップホップサウンドが武器の彼らは、先日アメリカの『Billboard Music Awards 2017』トップ・ソーシャル・アーティスト部門でジャスティン・ビーバーを抑えて受賞。同賞は創設以来、昨年まで6年連続でジャスティンが受賞してきたと言えばその勢いが伝わるだろうか。

韓国でもまさに脂の乗った状態であるEXOや防弾少年団は、メンバーのルックスもさることながら作品ごとに作り込まれたコンセプトと、そのコンセプトを形にしてみせる高いパフォーマンス力が持ち味。また彼らをはじめとする多くのK-POPアーティストが同時代の海外シーンの流行を取り入れる素早さはすさまじく、ある意味で節操がないとも言えるが、外に目が向いている作り手の姿勢が窺える。またEXOのラッパー・チャンヨルは、Tinasheらと共にFar East Movementの楽曲にフィーチャーされているほか、防弾少年団のリーダーRAP MONSTERは今年3月にアメリカのラッパーWaleとのコラボ曲を発表。ガールズグループ4MinuteがSkrillexとコラボしたり、SHINeeのメンバー・テミンのソロ作にブルーノ・マーズが参加したりと、海外の大物とのコラボレーションも少なくない。

・まだまだいる日本未デビューのアーティストたち。TWICEとBLACKPINKは新潮流の旗手となるか?

5〜6年前のように韓国のアーティストを地上波のゴールデン番組で見かけることはほとんどなくなったが、それでも東京ドームで単独公演を成功させたEXOや、オリコン1位に輝く防弾少年団のようなグループがいるというのは、もはやテレビの力に頼ることなく、インターネットを中心に強大なファンダムが築き上げられているということだろう。現在のK-POPファンには、かつての韓流ブームなど知らず、インターネットで彼らを発見してファンになったという若いリスナーも多いはず。日本のメディアでの露出が激減したのは事実だが、メディアに登場しなくなっただけで、実はブームは終わっていなかったのかもしれない。あるいは、ブームというのはピークを迎えてやがて収束するものだが、もはや1つの音楽のカテゴリとして日本の音楽シーンの中に定着しようとしているのだろうか。