米航空宇宙局が公開した、重力の影響で絡まりあう2つのブラックホールの想像図(2013年12月4日提供、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】国際物理学者チームは1日、合体する2つの巨大ブラックホールによって生じた、重力波(質量を持った物体が運動した際に光速で伝わる時空のゆがみ)を検出したと発表した。今回の重力波は、これまで検知された中で最も遠方で放射されたものだという。

 今回の重力波を発生させた銀河の衝突は、約30億光年先で起きた。この現象の直接観測は、科学界で3例目となる。

 米国物理学会(American Physical Society)の学会誌「Physical Review Letters」に発表された研究論文によると、この謎めいた波動が初めて検出されてから2年たってからなされた今回の発見は、物理学者アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)が1915年に提唱した一般相対性理論のさらなる裏付けとなるという。

 米レーザー干渉計重力波検出器(LIGO)に参加する研究者たちで作る組織「LIGO科学コラボレーション」(LSC)の広報担当で、米マサチューセッツ工科大学(MIT)上級科学研究員のデービッド・シューメーカー(David Shoemaker)氏は「数十億年前に、地球から数十億光年離れたところで発生した、このように奇妙で極端な現象に関して人間がストーリーを組み立て、それを検証することができるとは驚くべきことだ」と述べた。

 世界の科学者1000人以上で構成されるLSCは、欧州を本拠とする重力波観測グループ「VIRGOコラボレーション」と協力して、LIGOによる研究を行っている。

 これまでの3つの観測例ではすべて、途方もなく大きなエネルギーが生じるブラックホール2個の合体によって発生した重力波を、LIGOの2台の検出器がそれぞれ捉えた。

 このような衝突では宇宙に存在するすべての恒星と銀河から常に光として放出されているエネルギーよりも大きなエネルギーが生み出されるとLIGOは声明の中で説明している。

■最遠最古の重力波

 検出可能な重力波の「さえずり」を発生させた今回のブラックホール合体は、2個のブラックホールが融合して、太陽の約49倍の質量を持つ新たなブラックホールを形成した際に起きた。

 LIGOが最初に検出した合体ブラックホールの質量は太陽の62倍、2例目は21倍で、今回のサイズはそれら2つの例のほぼ真ん中に当たる。

「太陽質量の20倍よりも大きな恒星質量ブラックホールの存在にさらなる裏付けが得られた。この種の天体はLIGOによって検出されるまでその存在が知られていなかった」と、シューメーカー氏は述べた。

 2015年9月の史上初の重力波直接観測では、13億光年先で起きた現象が検出された。そのすぐ後の2015年12月に観測された2例目の重力波は、14億光年先で放射されたものだった。

「GW170104」と呼ばれる3例目の重力波信号は、2017年1月4日に検出された。今回の重力波現象は、先の2つの現象より2倍以上古く、地球からの距離も2倍以上ある。

 LIGO研究所のエグゼクティブディレクターを務める米カリフォルニア工科大学(Caltech)のデービッド・ライツェ(David Reitze)氏は「ブラックホール2個の合体で発生した重力波の3例目の検出が確認されたことで、LIGOは宇宙の暗黒面を解明するための強力な観測所としての地位を確立しつつある」と話す。

「LIGOはこの種の現象を観測するのに比類なく適しているが、近い将来には、中性子星同士の激しい衝突などの別の種類の天体物理学的現象が観測することを期待している」
【翻訳編集】AFPBB News