5月26日から3日間にわたって行なわれたアイスショー、『ファンタジー・オン・アイス』(千葉・幕張)の最終日。羽生結弦は、オープニングで氷上に登場するなり勢いよく滑り出すと、4回転トーループを決めて観客から大喝采を受けた。

 そしてオープニング第2部では、中西圭三が唄う『Choo Choo TRAIN』に合わせて次々と選手が登場する中、羽生は激しく踊りながらリンク中央まで進み、最後は他の選手に周りを取り囲まれながらスピード感あふれるスピンを披露した。


オープニング第2部に、金色の衣装で登場した羽生 昨年はケガの治療に専念していたため、アイスショーは2年ぶりの出演となる。シーズンを終えたこの時期に、多くの観客の前で緊張感を持ちながら思い切り滑れることの幸せを、心の底から感じているようだった。

 今回、羽生が自らの演目として選んだのは、新シーズンへ向けたショートプログラム(SP)、ショパンのピアノ曲『バラード第一番ト短調』。この曲は、2014年ソチ五輪の翌シーズンから2シーズン使っていた曲だ。振付師のジェフリー・バトルに「ピアノ曲をやりたい」という要望を出して選んでもらい、15年12月のグランプリファイナルでは現在のSP世界最高得点の110.95点を獲得している。


新SP使用曲『バラード第一番ト短調』に合わせ、華麗な滑りを披露

 最高得点を出した時は、最初に4回転サルコウと4回転トーループ+3回転トーループを入れていたが、今回は最初に4回転ループを入れ、後半の最初にトリプルアクセル、次に4回転トーループ+3回転トーループを入れるなど、難度を高くした構成になっている。

 後半の連続ジャンプを、昨シーズンと同じ4回転サルコウ+3回転トーループにしなかったのは、その構成のSPでミスを続けていたこともあるだろうが、それ以上に4回転トーループへの自信があったからだ。

 2016-2017年シーズン最終戦となった世界国別対抗戦のフリーでは、後半の4回転に集中し、4回転サルコウ+3回転トーループと単発の4回転トーループで、それぞれGOE(出来ばえ点)で2.43点と2.71点の加点をもらっている。

 その演技後に羽生は、「前半で跳んだかのようなジャンプができていた。それは間違いなく、やっと自分らしいジャンプが(疲労のある)後半でも入れられるようになったといえます」と振り返った。

 また、同大会のフリーではトリプルアクセル+2回転トーループを跳んでから、4回転トーループからの3連続ジャンプも決めていた。GOE加点は0.23点減点となったが、それは最後の3回転サルコウの着氷が乱れたからで、「今まではトリプルアクセルにこだわっていましたが、手応えのある4回転トーループができているので、アクセルだけに絞っていく必要はないのかなと感じています」と話していた。

 自己最高得点を出した時の4回転トーループ+3回転トーループはGOE加点で満点の3点をもらう出来だった。それと同じようなジャンプを跳べる手応えを得たことで、SPでの大きな得点源にしようと考えたのだろう。初日と2日目にミスをしていたという4回転ループを、最終日には完璧に決めてみせた。

 そして、2種類のスピンをこなした後は、複雑なステップから軽々とトリプルアクセルを跳び、続く4回転トーループ+3回転トーループもきれいに着氷。その瞬間、羽生は両拳を力強く握り、2度、3度と震わせて達成感をアピールした。その後もこれまで以上に気持ちの入ったステップを滑り、最後をスピードのあるチェンジフットコンビネーションスピンで締め、ノーミスで演技を終えた。

 常々、「アイスショーは今できるすべてを出し切って、その時々の観客のみなさんに感動してもらうのが自分の役目」と発言している羽生。今年のファンタジー・オン・アイスはあと2会場、神戸と新潟で開催される。羽生は1回1回の演技に全力で向き合い、修正を加えながらプログラムを完成に近づけていくはずだ──。

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