済州の助っ人DFが乱闘騒動で証言 韓国人選手は「浦和の5番が挑発したと話していた」

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ACL8強を懸けた一戦で起きた前代未聞の大乱闘を、DFヨバノビッチが振り返る

 浦和レッズ済州ユナイテッド(韓国)の試合後に起きた乱闘騒ぎは、フットボール界を震撼させる一大スキャンダルとなった。

 5月31日に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦の第2戦は、延長戦にもつれ込む死闘となったが、試合終了間際から興奮状態となっていた済州の選手やスタッフが、タイムアップの笛に喜びを見せた浦和の選手やスタッフに対して暴力行為を仕掛けるという、前代未聞の事態に陥った。

 発端となったのは延長後半アディショナルタイムだった。浦和は敵陣右サイドでボールをキープしたが、奪い返しにきた済州の選手たちともみ合いになる。するとビブスを着た控えDFペク・ドンギュがピッチに乱入。MF阿部勇樹にジャンピングエルボーを見舞うという前代未聞の退場劇を演じていた。

 さらに2戦合計3-2で浦和が勝利した試合後には、済州の選手やスタッフが浦和の選手、スタッフに殴りかかった。信じられない恐怖の光景が、観衆の眼前に広がった。

 韓国メディア「スポーツソウル」によると、試合後のチョ・スンファン監督は「浦和の選手の一人が、勝利のセレモニーを私たちのベンチ前でしたので、私たちの選手を刺激した」と語ったという。

「うちのメンバーがこんな風になるとは…」

 果たして、本当に済州側を刺激した人間はいたのだろうか。済州のオーストラリア人DFアレクサンダル・ヨバノビッチは、試合後に取材エリアで足を止めた。

「自分は見ていなかったけれど、他の選手が相手の5番がこちらを見て挑発してきたと話していた」

 相手選手に名指しされたのは浦和の5番、日本代表DF槙野智章だった。ズラタンがボールを蹴り出し、試合終了の笛が鳴り響いた瞬間、槙野はベンチで待つメンバーの下に向かってダッシュした。その際に二度、三度ガッツポーズを見せたが、済州のメンバーは韓国ベンチ前での挑発行為と受け取ったようだ。そして、我を忘れるほどの怒りとともに蛮行に出た。槙野は試合後、「分からないです。殺されるかと思った。そりゃガッツポーズはするでしょう。みんなでガッツポーズしたから、それが気に障ったんじゃないですか」と振り返っている。

「大事な試合だったから熱くなることはあると思う。でも、うちのメンバーがこんな風になったのは見たことがない。よっぽどのことがあったのだろうか」とヨバノビッチは語った。

最後はペトロヴィッチ監督に挨拶

 柏レイソルや湘南ベルマーレ、ザスパクサツ群馬、ロアッソ熊本でプレー経験のあるクォン・ハンジンは、試合後のピッチで槙野を追い回すという衝撃の“鬼ごっこ”を展開。槙野は脱兎の如く逃げ切り、クォン・ハンジンは退場処分となったが、浦和の選手に襲いかかる同僚の蛮行をヨバノビッチは初めて見たという。

 ヨバノビッチは興奮状態となった同僚の制止役となり、最後は浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督に挨拶をしてピッチを後にした。済州は助っ人にとっても、前代未聞となる衝撃の乱闘騒動を引き起こしてしまった。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images