アップルが、AI(人工知能)を使った音声アシスタントサービスを利用できる単体の機器を開発しているといった観測はこれまでにも出ていたが、米ブルームバーグがこのほど報じた最新情報によると、アップルはこの機器の製造をすでに始めているという。

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Siri搭載アシスタント機器、年内に発売か

 同社は6月5日から、米カリフォルニア州サンノゼで、「WWDC(Worldwide Developers Conference )」という開発者向けイベントを開催するが、その会場で、この新たな機器が発表される可能性がある。ただし発売時期については詳しく分かっておらず、事情に詳しい関係者は「年内になる」とだけ話しているという。

 この機器は、アップルがiPhoneなどで提供している音声アシスタントサービス「Siri」を利用できる単体機器と見られている。

 ブルームバーグによると、本体には高性能スピーカーを備えており、音声命令で、音楽ストリーミングの「Apple Music」などの同社サービスが利用できるほか、対応機器と組み合わせれば、部屋の照明のオン/オフや、玄関ドアの施錠/解錠といったこともできるようになる。

 iPhoneなどのOS(基本ソフト)「iOS」には、家電を管理・操作するソフトウエアプラットフォーム「HomeKit」が組み込まれているが、この仕組みを利用し、利用者がこれまで以上に容易に家電を音声で操作できるようにしたいとアップルは考えているという。

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サービスで顧客を囲い込み

 そして、アップルがこの機器を市場投入する理由にはもう1つあるとブルームバーグは伝えている。それは、顧客の同社サービスへの囲い込みだ。

 こうした音声アシスタント機器は、米アマゾン・ドットコムが2014年から米国で販売しているが、米グーグルも昨年、同様の製品を市場投入している。

 しかし「Amazon Echo」や「Google Home」といったこれらライバル企業の機器は、アップルのサービスに対応していない。例えばこれら機器の利用者が、音楽サービスを利用する際、「Amazon Music」や「Google Play Music」などのアップル以外のサービスを利用することになる。

 米国の市場調査会社eマーケーターによると、米国の音声アシスタント機器の市場では、アマゾンの利用シェアが約7割に上り、これにグーグルが約2割で次いでいる。

 eマーケーターは、アシスタント機器の米国利用者数は今年(2017年)、昨年から128.9%増加し、3560万人になると見ているが、こうした中、アシスタント機器を持たないアップルは、今後利用者のサービス離れといった問題に直面する恐れがあると、ブルームバーグは指摘している。

外部企業と連携、対応製品拡大

 アップルのアシスタント機器は、Siriの生態系を拡大させるものになるのかもしれない。

 アップルは昨年Siriを外部企業に公開した。これにより、さまざまな機器メーカーが、スマート家電とも呼ばれる、Siri対応の製品を発売した。例えばそうした製品には、照明システム、監視カメラ、ドア錠、サーモスタット、電気・水道測定センサーなどがある。

 利用者はこうした機器を、iPhoneやiPadの画面をタップしたり、Siriに音声で命令したりして、操作できる。アップルのスピーカー型アシスタント機器に搭載されるSiriについても、同社は外部企業と連携すると考えられ、その対応製品は増えていくのではないだろうか。

 なお、アマゾンとグーグルはすでに、それぞれのAIアシスタントを外部企業に公開している。このうちアマゾンは今年2月、同社のアシスタントサービス「Alexa」で利用できるサービス/機能の種類が1万種類を超えたと発表している。

(参考・関連記事)「激化するAIアシスタントの市場競争」

筆者:小久保 重信