フェイスブックが導入した「グーグル式仕事術」はなぜすごいか?

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グーグルで開発され、フェイスブックなど世界の先進的企業で導入された究極のスピード仕事術「スプリント」。その超合理的なノウハウを、開発者自身が手取り足取り公開した話題の新刊『SPRINT 最速仕事術』。世界で衝撃をもって迎えられ、23か国で刊行の世界的ベストセラーとなっている。なぜいま、世界の企業がこぞって「スプリント」を導入しているのか?本連載では、同書から一部を特別公開し、その秘密に迫る。

「仕事のやり方」が根本的に変わる

 どんよりとした風の強い、凍えるような12月のある日。2人の共同創業者が肩を寄せ合い、何やら言葉を交わした。1週間前に最新のプロトタイプ(試作版)が失敗したが、2人は原因をつきとめたつもりでいる。不具合を修正し、自信をもって今朝を迎えた。開発とテストに3年もの歳月を費やしたいま、彼らのクレイジーな長期目標はとうとう手の届くところまで来たのかもしれない。

 風速9メートルの切り裂くような風に砂煙が舞い上がる。最悪の天気だと人はいうだろうが、2人は気にもとめていない。たとえプロトタイプが失敗しても、何かしら学べることがあるし、5人の見物人に失態をさらすだけですむ。2人は最後の準備をととのえ、見物人に挨拶した。開始の時間だ。

 テストは成功した。輝かしい12秒の間、万事がうまくいった。2度めのテストも成功に終わり、3度めも成功した。開始から数時間後、彼らはその日最後になる4度めのテストを行った。ブーン! 4度中4度とも成功だ。最後のテストで59秒間の記録を打ち立て、2人の自転車店の共同創業者は狂喜した。

 ときは1903年、ウィルバーとオービルのライト兄弟が、人類史上初の有人動力飛行に成功した瞬間だ。

 ライト兄弟は浮き世離れした歴史的人物で、あの有名な飛行は比類なき天才の偉業だと片づけるのは簡単だ。でも「スプリント」を知っているあなたなら、彼らがどんな手法やとりくみで飛躍を成功させたかを見抜けるだろう(スプリントとは、グーグルで開発された、新製品や新サービスのアイデア出しから、成功するかどうかの検証までを5日間で行うスピード仕事術だ。さらなる詳細は本連載第3回も参照のこと)。

 ライト兄弟は、大胆でクレイジーともいえる目標から始めた。最初はどうすれば実現できるかわからなかったから、解決すべきクエスチョンを洗い出した。2人は飛行を試みた人たちと文通し、スミソニアン協会から空気力学の技術論文をとり寄せた。凧やハンググライダーについて調べ、鳥類を観察し、ボートのプロペラを研究するなどして、既存のアイデアを探した。

 そしてそれらを結びつけ、組み替え、改良した。

 その後の数年間、「プロトタイプ思考」をもち続け、目標に向かって歩を進めた。課題を洗い出し、障害を打破しながら前へ進んだ。十分な揚力を発生させるにはどうすればいいだろう? 機体を安定させる方法は? エンジンを追加できるだろうか?

 ときには墜落もした。何度もした。でも失敗するたび、特定の問題に答えを出すためのプロトタイプをつくり直し、テストした。長期目標を見据えて前進し続けた。

 すべて「スプリント」と同じプロセスだ。

 ライト兄弟は航空機の開発にスプリントを利用したわけじゃない。でも同じようなツールキットを使った。それを何度も何度も、何度も活用した。問題を洗い出し、プロトタイプをつくり、テストを行うことが、2人の日常になった。

 スプリントによって、職場にこの習慣を根づかせることができる。

 スプリントを初めて経験したチームは、仕事のやり方が変化したのを実感する。単なる話し合いを検証可能な仮説に変える方法や、重大なクエスチョンに「いつか」ではなく今週中に答えを出す方法が身につく。チームを信頼し、互いの専門知識を活用して野心的な目標に近づいていける。

「野心的な目標」なんていうと、ベタな社内用語や自己啓発ポスターのようだが、仕事で野心的な目標をもつことを恥ずかしく思うべきじゃない。

 一日、一年、一生のうちに使える時間は限られている。毎朝仕事を始めるとき、時間と労力をかければ価値あることができると信じよう。自分が現実の人々の生活向上に貢献していると自信をもとう。この本で紹介したテクニックを使えば、本当に大切な仕事に集中できる。

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