横綱審議委員、稀勢の里に「休場の白鵬を見習え」との発言

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■稀勢の里と高安の絆

 白鵬の優勝で幕をとじた大相撲5月場所だが、高安が大関昇進したことによりまだまだ熱が冷め切らない。稀勢の里が途中休場したことにより相撲人気が不安視されたが連日満員御礼の札がかかりその人気の高さが伺えた。稀勢の里も自身が休場したことにより少なからず責任を感じただろうが、弟弟子である高安の奮闘に勇気をもらったことだろう。

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 普段、喜怒哀楽をあまり表に出さない稀勢の里が、高安の大関昇進を自分のことのように喜んでいたのは、見ていて気持ちのいいものだ。思えば3月場所、稀勢の里が本割、優勝決定戦と照ノ富士を下し優勝した際に高安はモニター越しにせせり泣いていた。高安も兄弟子稀勢の里の優勝に泣くほどの喜びを感じていたのだ。

■横綱審議委員の心無い一言

 そんな美談に心を打たれるファンは少なくないだろう。しかし横綱審議委員の一言はそれらをぶち壊すものではないかと思えた。10日まで必死に土俵に立った稀勢の里に対し、「休場した白鵬を見習ったらいい」と言ったのだ。

 稀勢の里がどう受け止めるかは分からないが、相撲を取ったこともない人間にそのようなことを言われるのはファンとしてあまり気分のいいものではない。出場しなければしなかったでバッシングは受けていただろう。

 相撲界全体の流れを考えると「休場した方がよかった」というセリフは適切かもしれないが「休場した白鵬を見習え」は少し違う気がする。横綱審議委員は力士に発破をかける前に、懸賞をかけた企業や横綱を見たがっているファンのことをもっと考えなければいけないのではないか。

 横綱審議委員は厳しい目で横綱を見るのはいいが、自分たちがゴーサインを出した横綱の意向をもっと汲んでいいのではないかと思う。そもそも横綱審議委員は横綱の上に立つべきではないと思っているのでこの発言は批判を受ける。

■稀勢の里の出場について

 5月場所の稀勢の里の出場について、結果的に見れば怪我も癒えておらず時期尚早だった気もする。しかし本人が出ると決めたのであればその意思を尊重するべきではないか。実際不調とはいえ両国国技館での横綱・稀勢の里をお披露目できたことは大きなことだと思う。

 そして話は元に戻るが、稀勢の里の出場によって高安は少なからずいい影響を受けたと思っている。兄弟子の前で相撲を取ることで無様な姿は見せられない。兄弟子が怪我にも関わらず必死に土俵に立っているため自分の励みになる。兄弟子が休場したことによりより頑張らなければいけないという意識が芽生える。

 この2人ならそういったか力は作用していたのではないか。そう考えると稀勢の里の出場はファンだけでなく、平成生まれ初の日本人大関を生んだ大きな要因になったのではないか。