宇佐美貴史(撮影:Noriko NAGANO)

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日本代表の海外組が集まる練習の中で、ひときわ目を引くのは宇佐美貴史の巧さだ。柔らかなボールテクニック、多彩なキック、常に意外性に溢れるアイデアなど、ボールが宇佐美の近くに行くだけで、楽しさが増す。

だが、宇佐美は日本代表での出番に恵まれていない。ここまでワールドカップ・アジア3次予選7試合を戦って、最も長い時間プレーしたのは初戦のホームUAE戦。そのときは62分からの途中出場だった。ところが、その後出場時間は激減。アウェイのタイ戦では後半アディショナルタイムでの投入で、ホームのタイ戦では84分からピッチに立った。

宇佐美は「調子は下がってない」という。「個人的な調子と個人的な技術レベルは下がってないんです。むしろそれを引き出していくための地盤となる走力やフィジカル的な部分は確実に上がっているので」と自信を見せた。

「アジアではかなりボールを支配するサッカーなので、そこに自分がもし入り込めれば、確実に全然違ったプレーを出せると思います」

では、なぜ出場できないのか。そう質問すると宇佐美は「クラブで出ないからでしょうね」と即答した。そして「選びづらさもあるような状態だと思います。自分がクラブで試合に出られれば、間違いなくこの場所には来られるし、それぐらいの信頼もされていることも伝わっています」

だが出番がない。今回は乾貴士の状態が心配で、バックアップとして呼ばれている。もちろん、そんな状況に宇佐美は満足していない。ファンタジスタぶりを発揮しようと狙っている。

「自分ならではのプレーをどんどん出していきたいですけどね。でもまずはクラブで出ないと。クラブで出ていれば、コンディションも何の心配もなく使ってもらえるでしょうし、その中で結果が出せれば。そういう行程を踏んでいきたいですし、そのためには、去年のようなチーム状況だったら苦しいと思います」

アウフスブルグがなんとかブンデスリーガに残留したことで、宇佐美を取り巻く環境は変わろうとしてる。

「守備で100パーセント労力を使うような試合の中で、守備で貢献して代えられて、そのままメンバー外になったりという理解できないようなこともありました。でも、来季はトップ下でボールが触れるところでプレーするように言われています。攻撃を支配するようなプレーをしてほしいと言われています」

今回、イラン行きのメンバーに入るかどうかは乾のコンディション次第。だが、この日も宇佐美のプレーには、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が熱い視線を注いでいた。

【日本蹴球合同会社/森雅史】