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■どんなクルマ?

「まっとうな軽自動車」

ミラ・イースの特徴は、おおきな特徴がないこと。そんなふうに逆説的にいえるかもしれない。というのもメーカーじしんが「いまやニッチ(すきまの存在)」と認める2ボックスという伝統的な車型にこだわっているのだ。

ある種の機能特化が行き着くところまで行った感のあるのが昨今の軽自動車。全高が日本人の平均身長(世代によって異なるが170センチ前後)をゆうに超える175センチにまで及ぶ“スーパーハイト”級が売れている。

そこにあってミラ・イースはニッチといいながらまっとうなクルマづくりで正面突破をはかっている。軽量化を推し進めて高効率化を追究した作りと、欧州製コンパクトを思わせるスタイリングのセンスが光る。

「このカテゴリーに属するのはいまや(スズキ)アルトとこのクルマだけ」とダイハツ工業の開発担当者。多くのユーザーは「いざというとき」を考えて室内高がうんと高かったり、いろいろ機能が多いモデルになびきがちなようだ。

そこにあってミラ・イースのようにまっとうな軽自動車のよさを再評価してもいいのではないか。新型に乗っての結論をいきなり書くと、そこである。

とにかく軽く

新型ミラ・イースは軽量設計がセリングポイントだ。構造材からはじまり、合成樹脂のボディパネルの使用範囲拡大にいたるまで、かなり徹底しており最大で80キロ軽量化に成功している。

658ccの3気筒エンジン無段変速機は従来型から継承。ただし「よりよい加速性が欲しい」というユーザーの要望に耳を傾けた結果、トルクのカーブを見なおしたという。

一般的なユーザーが加速感を欲しがるアクセルペダルの踏み込み量の領域を考慮。スロットル開度をファインチューニングするなどしている。

最大でリッターあたり35.2kmという燃費を目標に掲げつつ、「走りのよさもぎりぎりまで追究しました」と開発者は説明してくれた。

■どんな感じ?

徹底的なまでの「こだわり」

実際に中間加速域で気持ちよい加速感が欲しいとき、走りは思った以上にスムーズだった。かつてはCVTの制御で対処していたが、エンジンのチューニングというより基本的な部分に目を向けたのだろう。

サスペンションも基本設計は継承。前がマクファーソン・ストラット、後ろがトーションビームという超をつけたいぐらい伝統的な方式だ。そこでも新型はあらゆるところでの軽量化をねらっている。たとえばスプリングは軽量化のため樽型を採用。細部まで手を抜いていないということだ。

軽量化への努力にはすさまじいものがあるので、せっかくだからもうすこし紹介しておこう。合成樹脂のパネルの多用は先に触れたとおり。すべてのウィンドウガラスも従来より肉薄にしたそうだ。燃料タンクも合成樹脂製になった。

インテリアのいいところ、ワルイところ

インテリアは広々としている。床が意外に低めで、シートに腰を下ろすときも、想像以上に腰を落とす必要がある。リアシートでも同様のことを感じる。

そのぶん見上げる天井は高く、開放感は大きい。これ以上のものを求めるならオープンカーしかないというかんじだ。

着座位置がやや低めなのは(それと軽量部材をシャシーとボディに使用しているのは)ロールセンターを低めてハンドリングの向上を狙った結果だろうか。開発者の答えは「なによりも開放感です」ということだった。

インテリアに趣味性はそれほどないが、機能主義的にデザインされている。軽自動車が幅広い層を対象とすることを考慮してだろう、これみよがしではないエルゴノミクス、人間工学が採用されていると随所で感じる。

重要なスイッチは大きく。さらに操作感は確実に。シフターなどミスシストを防ぐためにゲート感が大事なのものはことさらに。といったぐあいだ。

すっと出て、ぐっと加速する

シフターはDとNとRのポジションを移動するときにしっかりした感覚がある。クルマ界では電子信号によるシフトが多いが、機械式は経済的であるばかりか、誤操作の可能性を減らす意味でも有効だとおもった。

クルマはよく走る。すっと出て、ぐっと加速する。印象的なのはステアリングホイールだ。

新型ミラ・イースに乗ってまず気づくのは、ステアリングホイールの入力に対する車両の反応のよさだ。

操舵感は適度な重さがあるのは、ぼくの個人的好みに合っている。それでよけい好印象なのかもしれないが、駐車区画から出ていくときの動きかた。舵の切れかたとクルマが微妙にロールするかんじがいいと思った。

このことは狭い場所で何回も切り返したときも同様。切り返しているだけなのだが、そのときの動きが自分の感覚とぴったり合う。こんなことで感心したのは過去そうそうない経験だ。

ふだんの足に使われるクルマとして高いところを目指したという開発者の姿勢を感じるいいチャンスだったかもしれない。

ここちよい反応

走りは従来よりぐっとスムーズになっている。市街地でかったるいと思うことはまず皆無。これについての改善要望が従来型のオーナーから出ていたというので、とくに力を入れたポイントというだけある。

自発光式デジタルメーターが用意された。メータークラスターに沿うように「エコドライブアシスト照明」が設けられている。負荷の低い運転だと緑に、やや負荷が高まると青に変わる。

けっこうこれが気になってしまうのは人間の弱い心理だ。ついつい緑をキープして走ってしまうのだが、アクセルペダルを深く踏み込まなくても中間加速でかったるさを感じる場面はかなり少なかった。

乗り心地は市街地では快適で、高速道路では路面の凹凸を拾いがち。タイヤのせいだろう。遮音対策を大きく施したという室内はこの価格の軽自動車としてはかなり上のレベルだ。

専用ダンパーを開発。とりわけ入力の速さに対して収縮のコントロール性を上げることに注力。操舵の応答性が向上し、かつ乗り心地がフラットになることを目指したためだそうだ。

試乗した上級グレードは14インチリム径のタイヤを装着。凹凸を拾いがちと感じたのは大径タイヤのせいかもしれない。

これに対して今回新開発した13インチが開発担当者のお勧めということだ。これは後で知ったので乗る機会を逸してしまった。ベーシックグレードのLとビジネス向けBに装備されている。購買を考えているひとは試してください。

安全装備「スマートアシスト掘

安全装備の面では世界最小サイズを謳うステレオカメラを採用した「スマートアシスト掘廚寮瀋蠅特徴だ。歩行者検知機能つきの衝突回避支援ブレーキや対向車検知型のアダプティブハイビームが備わる。

車線逸脱警告機能や先行車発進お知らせ機能も上記のシステムのなかに含まれる。これは不要といえば不要だが、あると便利なことは認める。そして縦列駐車や狭い場所での取り回し性の向上を考えてコーナーセンサーを前後に設けている。これこそ日常の理想的な「足」というかんじだ。

スタイリングはすっきりしていて、エッジをきかせたキャラクターラインもスポーティで好ましい。キュートさを狙うと飽きやすい。やはりここでも「まっとう」な手法が光る。

■「買い」か?

もし、買うならば

ぼくが自分のために理想のミラ・イースを選ぶとしたら(試してからだけれど)13インチタイヤで、ヘッドランプはLかBに装備されているハロゲンタイプがデザイン的にいい。目がぱっちりしていてクルマとして魅力ある顔つきだからだ。

といっても、ポケットにキーを入れておけばドアの解錠・施錠はドアハンドルだけで行え、エンジンのスタート・ストップはボタンで、というキーフリーシステム(最上級グレードのGにのみ装備)や電動格納式ドアミラー(Gと中間グレードのXにのみ装備)などは欲しい。

いろいろ悩む楽しみはありそうだ。5年間のデータ更新オプションのついたカーナビゲーションやドライブレコーダーなども豊富なリストが用意されている。

スターティングプライス(日本では「入り口価格」という)が84.2万円。これでこの内容は驚くほどのバリュー・フォー・マネーだとおもった。

ダイハツ・ミラ・イースG “SA III”

■価格 1,209,600円 
■全長×全幅×全高 3395×1475×1500mm 
■ホイールベース 2455mm 
■乾燥重量 650kg 
■エンジン 直列3気筒658ccガソリン 
■最高出力 49ps/6800rpm 
■最大トルク 5.8kg-m/5200rpm 
■ギアボックス CVT 
■サスペンション マクファーソン・ストラット / トーションビーム 
■ブレーキ ディスク / ドラム 
■ホイール+タイヤ 155/70R13 
■燃費(JC08モード) 34.2km/ℓ