浦和対済州で乱闘が勃発。試合終了後も騒動は収まらなかった。(C)SOCCER DIGEST

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 ACLラウンド16で、浦和レッズに2戦合計2-3で敗れた済州ユナイテッド。済州はクラブ史上初めて16強進出を果たし、ホームでの第1レグに2-0で勝利していたため、第2レグに負けても1点差以下なら8強に進出できていた。しかもKリーグ勢で決勝トーナメントに勝ち進んだのは済州1チームだけで、韓国中の期待を一身に背負った“負けられない戦い”。その一戦での0-3大敗だっただけに、韓国メディアも落胆を隠せない。
 
「済州、浦和遠征で痛恨の敗北…8強入りKリーグチームゼロ」(『クッキーニュース』)
「済州、見苦しい敗北」(『ソウル新聞』)
「済州Utd、史上初のACL8強入り挫折」(『済州島民日報』)
 といった見出しが並んでいる。
 
 韓国の大手ポータルサイト『NAVER』のスポーツコーナーで「済州と浦和、“戦術・経験”の差が大きかった」とコラムを書いたのは、スポーツライターのキム・ファン氏だ。
 
 サッカーメディア『FOOTBALLIST』の記者で現在は『JTBC FOX SPORTS』の解説も務めている同氏は、「完敗だった。ミスを繰り返し、相手の攻撃にまったく対応できなかった。攻撃戦術の多様性も不足していたし、浦和ファンの一方的な応援にも圧倒され、スタジアムの環境にも適応できなかった」と、済州の敗因を分析している。
 
 2-0で勝利したホーム戦を引き合いに出すメディアもあった。『SPORTSQ』は「遠征ムードに圧倒された済州、浦和に3失点“痛恨の脱落”」という記事の中で、「ホーム戦は2-0で勝利したものの、浦和の組織的なパスワークをベースにした攻勢に押されていた。支配率も24:76とホーム戦らしくない内容だった。今回の試合も雰囲気が似ていた」と綴っている。
 
 実際、この日の済州はアウェーの雰囲気に飲まれ防戦一方だったが、3点を叩き込んだ浦和のオフェンス力について触れるメディアも散見された。
 
『スポーツ朝鮮』は「(済州は)浦和の攻撃に苦しめられた。強力な圧迫に押された。クリアすらままならないほどディフェンスの組織力が揺さぶられた。精神力でどうにか耐えていた」と伝えている。
 また、「“ソウル・キラー”李忠成、今度は済州を刺す」と見出しを付けた『Best Eleven』は、勝ち越し弾を決めた李忠成の活躍にフォーカスし、「特有の闘争心と浸透能力、そして左足から繰り出されるキックを武器に済州のゴールを脅かし続けた。その結果、最も重要なタイミングでチームのふたつ目のゴールを決め、勝利に貢献した」と評価した。
 
 ただ、この日の試合は荒れに荒れていた。終盤から試合終了後に至るまで両チームが入り乱れる乱闘騒ぎも起きたが、この騒動に関する報道を見ると、後ろめたさがあるのか日本や海外の反応について紹介するメディアが多い。
 
『聯合ニュース』は「日本の浦和“暴力沙汰を起こした済州、AFCに抗議する”」とヘッドラインを付けた記事で「Jリーグ浦和レッズは済州ユナイテッドの選手たちが暴力行為を犯したとして抗議意思を明らかにした。日本のメディアは露骨な表現で済州ユナイテッドと批判している」と掲載。『SPORTSQ』は「済州、浦和との乱闘劇を海外メディアが紹介…国際的恥」と伝えている。
 
 しかし、韓国サッカーファンにとってもっとも残念だったのは、Kリーグ勢がすべて敗退してしまったことかもしれない。
 
「済州、浦和に0-3で完敗し16強脱落…Kリーグ全滅」(『News en』)や「最後のKリーグチーム済州までもACL脱落」(『スポーツ東亜』)といった報道を見ると、2008年に全チームがグループリーグで脱落して以降9年ぶりとなる“全滅”にショックを隠し切れない様子がうかがえる。
 
 唯一の望みだった済州が16強で敗退し、そればかりか暴力事件で“国際的な恥”までさらした今年のACL。韓国にとっては悔しさばかりが残る大会となってしまった。
 
文:慎 武宏(スポーツライター)
 
シン・ムグァン/1971年、東京都生まれ。韓国サッカー取材歴20年。近著に歴代コリアンJリーガーへのインタビュー集『イルボン(日本)はライバルか 韓国人Jリーガー28人の本音』(ピッチコミュニケーションズ)。