絶滅が危惧されているウガンダキリン。ケニア・ナイロビの保護区で(2016年12月21日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】増え続ける人口、および食糧や水、居住空間に対する需要の高まりは、今後50年間に野生動物を「先例のない」絶滅危機に追い込む恐れがあると、専門家らが5月31日に発表の考察記事で警鐘を鳴らした。

 学術誌「ネイチャー(Nature)」の付録であるInsightに掲載された記事は、アフリカやアジア、南米といった世界で最も多様な生物が生息する地域で、360種を超える大型ほ乳類が最大規模の脅威に直面しているとしている。

 しかし、これを阻止する方法が全くないわけではない。記事は、人の食生活や農耕技術を抜本的に見直すことで、2060年までに世界100億人に「健康的な食」を提供できるようになると同時に、現存する大半の野生生物種の生息地の保護もできるとしている。

 現生人類がアフリカから世界各地に広がってから、種の絶滅は絶え間なく進んでいる。

 今から約3000年前までに、地球上に生息していた、体重44キロ超の大型陸生ほ乳類の約半数と鳥類の15%が既に絶滅している。

 現在の人口は、当時の約25倍の70億人となっているが、今世紀末までにはさらに40億人増える見通しだ。

 記事は、すでにほ乳類の4分の1と鳥類の13%が絶滅の危機に瀕していることを指摘しながら、「現時点での鳥類やほ乳類、両生類の絶滅のスピードは、隕石落下や火山の大規模噴火、その他の地殻変動的な事象によってもたらされた過去5億年間での5回の世界的な大量絶滅と同等」と説明している。

■自然保護区の拡大と管理向上

 地球上では現在、地表の約14%が保護区に指定されている。しかし世界的には、生物多様性の減少に歯止めがかからない。

 執筆者らは、狩猟や殺処分、密猟などにより、絶滅の恐れのある鳥類やほ乳類の最大半数が危険にさらされていることに懸念を表明している。

 例えばアフリカの一部では、ライオンの生息数が本来いるべき数の10%に落ち込んでいる。人がライオンの生息地を奪っていることが主な原因だという。他方でガーナでは、1970〜1998年にかけて、野生動物の肉が大量に消費され、ほ乳類41種の個体数が80%近く減少した。

 人口や経済的余裕が増すのと比例して、野生動物絶滅への脅威も増している。

 地球上では、今後予想される食糧需要に応えるため、2060年までにさらに7億1000万ヘクタールの開墾が必要と見積もられている。このうち、米国のほぼ半分の広さにあたる4億3000万ヘクタールは、サハラ以南のアフリカに位置することになる。

 記事は、こうした現状の中で希少な生物を保護するには、自然保護区の拡大と管理の向上が必要と訴え、「例えば、代わりとなる生活手段や別のたんぱく源を提供することにより、狩猟や密猟を行わなければならない根本的な原因を断ち切ることが必要」と指摘している。
【翻訳編集】AFPBB News