今大会は無得点に終わった岩崎。3年後の東京五輪に向けて、京都で再スタートを切る。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 0-1で迎えた延長後半7分。1点のビハインドを負ったU-20日本代表の内山篤監督は最後のカードを切る。ピッチサイドに掲げられた交代ボードのナンバーは13番。その表示を確認した岩崎悠人は、すべてを悟ったような表情でピッチを去り、力を使い果たした重い身体で内山篤監督とハイタッチを交わした。「やるべきことはやってきたので、全力でやって、今持っているものを全部出したい」と意欲を示していた今大会。その想いは結実せず、不完全燃焼のまま帰国の途に就いた。

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 今回のU-20ワールドカップで、岩崎はストライカーとしての葛藤を抱えながら戦っていた。
 
 第2戦のウルグアイ戦で小川航基が負傷。2トップでコンビを組んで来た盟友の不在によって、背番号13に掛かる負担は想像以上に大きくなった。相手の背後を突くスプリント。潰れ役となるポストプレー。前線の起点として多くのタスクが求められた。
 
 その結果、「グループリーグ3試合は影になるプレーが多かった」という本人の言葉通り、ゴールを奪うプレーではなく、周囲を生かすプレーに比重を置かざる得ない状況となった。当然、献身的な動きを続ければ体力は消耗する。中2日での試合が続けばなおさらだ。それでも、岩崎はそうした動きの重要性を誰よりも分かっているからこそ、献身的なプレーを止めようとはしなかった。
 
 チームのためにという想いと、ゴールを奪うというFWとしてのプライド。試合を終えるごとに「点を取りたい」という言葉を残し、もどかしさを抱えながらも同じスタイルでピッチに立つ道を選んだ。
 
 迎えた30日のベネズエラ戦。誰よりも結果を欲し、試合前から「チームのためにやるのも良いけど、光もあれば影もある。でも、そこでチームに貢献するという言葉に逃げず、結果を残したいというのが今は強くなってきている」と意気込みを語っていた。
 
 しかし、岩崎に相手を仕留めるだけの力は残されていなかった。ゴール前でチャンスを得ても、思うように身体が動かない。33分には市丸瑞希(G大阪)のクロスに反応してフリーでヘディングシュートを放ったが、得点を決めたいという焦りもあって、枠を捉えることすらできなかった。
 
 結局、岩崎は最後までゴールネットを揺らせず、無得点のまま大会を去ることとなった。運動能力の高さは世界でも通用したが、ストライカーとしては満足のいく結果を残せなかったと悔やむ。
 
「今大会は影の動きが多く、なかなかシュートを打てなくて、ゴールに絡むシーンがなかった。全部、フリーランや起点を作る動きばかりになっていた。そこで自分が輝けるプレーを磨いていかないといけない」
 
 ただ、大舞台で苦悩した経験は自身に還元される。昨年から課題に挙げていた決定力も、「強豪国はチャンスを決め切る勝負強さがちょっと違う」ことを思い知らされた。岩崎悠人は痛感した世界との差を詰めるべく、京都で再スタートを切る。そして、影ではなく、輝きに満ちた光となって、東京五輪という舞台に挑むつもりだ。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)