ACL乱闘騒ぎの原因は? 済州監督「浦和の選手が刺激」 槙野「殺されるかと思った」

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試合後の乱闘騒ぎの原因は槙野のガッツポーズ?

 浦和レッズ済州ユナイテッド(韓国)の試合後に起こった乱闘騒ぎは、大きな後味の悪さを残した。

 31日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦の第2戦、延長戦にもつれ込んだ試合終了直前からヒートアップしていた済州の選手やスタッフが、タイムアップの笛で喜びを見せた浦和の選手やスタッフに乱闘を仕掛けた。

 伏線は試合中からあった。後半36分にDFチョ・ヨンヒョンが2枚目のイエローカードを受けて退場処分。トータルスコア2-2でアウェーゴール数でも並んだ一戦は延長戦に入ったが、済州は10人での戦いを強いられた。そうしたなかで延長後半9分には浦和に勝ち越しゴールを許し、そこから浦和が時間を使おうとしたボールキープの際には、衝撃的な一幕があった。

 浦和は敵陣の右サイドでボールをキープしたが、奪い返しに来る済州の選手たちともみ合いになった。そこでベンチからビブスを着た控え選手のDFペク・ドンギュがピッチに乱入。80メートルほどを走ってMF阿部勇樹にジャンピングエルボーを見舞って前代未聞の退場劇を演じていた。

 そうした状況のなか、トータルスコア3-2で浦和が勝利した試合後には済州の選手たちやスタッフが乱闘騒ぎを仕掛けた。選手たちからの話では、試合終了後にDF槙野智章がしたガッツポーズが挑発的な行為と受け止められたようだ。

槙野「そりゃガッツポーズするでしょ」

 韓国メディア「スポーツソウル」は、試合後のチョ・スンファン監督のコメントとして「Kリーグファンに良い試合と結果、マナーを見せなかったことについて残念に思う」としたものの、「浦和の選手の一人が、勝利のセレモニーを私たちのベンチの前でしたので、私たちの選手たちを刺激した」と報じた。

 一方の槙野は「分からないです。殺されるかと思った。そりゃガッツポーズはするでしょう。みんなでガッツポーズしたから、それが気に障ったんじゃないですか」と、済州を挑発する意図はなく試合の勝利の喜びに過ぎないと話している。

 試合直後、済州の選手たちが槙野に向かって突進。浦和のスタッフが壁になって阻んでいる間に槙野はロッカールームに退散せざるを得なくなった。その騒動の渦中で、槙野を守った浦和の水上裕文主務に相手DFクォン・ハンジンが飛び膝蹴りをお見舞い。柏レイソルや湘南ベルマーレ、ザスパクサツ群馬、ロアッソ熊本でプレー経験のあるクォン・ハンジンだが退場処分となった。結果的に済州には3枚のレッドカードが提示され、そのうち2枚は試合の流れとは全く関係ない暴力的な行為によるものだった。

マナーの悪さも目立った韓国メディア

 また、試合を報じた韓国メディアも試合後は埼玉スタジアムの記者席に持ち込み禁止の空き缶やゴミを放置して帰るなど、マナーの悪さを目立たせた。ミックスゾーンでも済州のスタッフが、対象が報道陣なのか浦和スタッフなのかは不明なものの「スーツを着た男だ、出てこい」と威嚇するなど不穏な空気に包まれた。

 昨年の同大会では、浦項スティーラーズの選手たちが試合後のピッチにテーピングを丸めて投げ捨て、GK西川周作が怒りを露わにするトラブルもあった。それだけ、日韓対決が熱くなるものであったにしても、後味の悪さが強烈に残ってしまった。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images