米国の6月利上げが確実視される中、ドル/円が伸び悩んでいる。外為どっとコム総研のシニアテクニカルアナリスト川畑琢也氏(写真)は、「市場の関心がファンダメンタルズではなく政局に傾いている。米国のロシアゲートの火種が大きくなれば、ドル一段安もあり得る」と警戒する。

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 米国の6月利上げが確実視される中、ドル/円が伸び悩んでいる。外為どっとコム総研のシニアテクニカルアナリスト川畑琢也氏(写真)は、「市場の関心がファンダメンタルズではなく政局に傾いている。米国のロシアゲートの火種が大きくなれば、ドル一段安もあり得る」と警戒する。川畑氏に聞いた当面の為替市場見通しは以下の通り。

――ドル/円の見通しは?

 ドル安/円高方向に動きやすい局面だ。年初にドル安の下限は106円程度と予測していたが、その安値を試すこともあり得ると考えている。

 ひとつは、シカゴの投機筋のポジションで円ショートが徐々に減少して円の先安観が後退していること。また、チャート上でも日足が75日移動平均線が上値の頭を押さえている。75日移動平均線は5月になってトランプ大統領のロシアゲートで売り込まれた戻りとして意識された。75日線は下降し始めており、上値の重い展開となるだろう。

 当面の下値メドは、200日移動平均線が位置する110円付近だが、ここで下げ止まらない場合は、4月の安値にリトライする場面もあろう。4月安値108.134円は週足の52週線が下値支持となったが、今回も52週線(108.710円)を維持できるかどうかが注目される。

 ドル下落のきっかけは、ロシアゲートの深刻化だろう。コミー前FRB長官の議会証言が材料視されそうだ。大統領の弾劾・罷免などが現実化するような事態になれば、ドル売りで反応すると思う。

 また、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」は、貿易摩擦に発展する懸念がある。アメリカ第一主義によって貿易赤字が改善する期待よりも、他国との関係悪化による不安定化を懸念してドル安・円高が進む可能性がある。

 当面の上値は26週線が位置する113.235円近辺になるだろう。ここを超えられなければ頭の重い展開が続きそうだ。

 本来であれば、米利上げによる日米金利差の拡大、米国の経済指標の力強さなど、ファンダメンタルズを評価すればドル高・円安に向かうところ、現在のところは市場の関心が政局に傾いてしまっている。この落ち着かない状況が続いている間は、ドルの頭が重い展開が続きそうだ。

――ユーロが下値を切り上げてきている。当面のユーロ/ドルの見通しは?

 年初はユーロ圏で予定される大きな選挙の結果が不透明で政治リスクが懸念されていたものの、それらが片付いてきたことによって、ユーロの強いファンダメンタルズが評価されるようになっている。ユーロ圏のインフレはECBの目標水準を回復しGDP成長率もしっかりしている。今後は、ECBによる量的緩和の縮小への舵取りになってくる。

 6月8日の理事会では、将来の経済見通しを述べるフォワードガイダンスの見直しが予想されている。量的緩和縮小への地ならしが始まったことが確認されれば、この文言の見直しはユーロ買いの材料になるだろう。そして、年後半以降は量的緩和縮小をいつ実施するかが現実的な議論になってきそうだ。

 また、シカゴのユーロのポジションは3年ぶりにロングに転じていてユーロの先安観は後退している。チャート上でも週足が三役好転となって上値トライが期待される。

 ただ、前週の足形が上影陰線であり、いったんは調整してもおかしくない。

 下値のメドは、フランス大統領選の第1回の投票結果を受けて上伸した際に開けたマドが当面は機能すると考えられる。今後、下押してもマドを埋めるようなことはないだろう。ちょうど、マドを開けた1ユーロ=1.08ドル近辺には、現在のところ200日移動平均線や75日移動平均線などが集まってきていて、下値支持線になりそうだ。