海外原子力事業の巨額損失で揺れる(株)東芝(TSR企業コード:350323097、東京都港区、東証1部)が保有する複数の不動産に、極度額5,500億円の根抵当権設定仮登記がなされたことが判明した。仮登記の権利者には主力行の三井住友銀行をはじめ、地銀や保険会社など68行(社)が名を連ねている。主力行以外の具体名が明らかになったのは初めて。
 東芝が再建の柱とする半導体メモリ事業を担う東芝メモリ(株)(TSR企業コード:023477687、東京都港区)の売却を巡っては、政府系ファンドの産業革新機構が30日、経営陣や有識者で作る「産業革新委員会」(事実上の意思決定機関)を開催したものの、東芝メモリへの出資判断を先送りしている。

極度額と債権の範囲

 東芝は4月6日、金融機関への担保提供を目的に、自社が保有する事業拠点の不動産の工場財団登記を申請していた。工場財団に属していることが確認されたのは、深谷事業所(埼玉県)、府中事業所(東京都)、横浜事業所(神奈川県)、京浜事業所(神奈川県)、浜川崎工場(神奈川県)の5物件。
 このうち、京浜事業所には、根抵当権設定仮登記が4月28日に申請されている。極度額は5,500億円で、債権の範囲は金銭消費貸借取引となっている。
 ただし、金銭消費貸借取引のうち、以下に基づく債権は除く旨が明記されている。
 ・2015年9月30日付コミットメントライン契約書に基づく債権
 ・2017年4月3日付コミットメントライン契約書に基づく債権
 ・2012年2月23日付シンジケートローン契約書に基づく債権
 ・2014年6月20日付金銭消費貸借契約書(劣後特約付)に基づく債権

 国際協力銀行は、以下も債権の範囲に含まれる旨が記載されている。
 ・2009年10月22日付債務保証契約証書に基づく保証債権
 ・2010年3月31日付債務保証契約証書(株式会社東芝)に基づく保証債権
 ・2012年9月3日付債務保証契約証書に基づく保証債権

東芝横浜事業所(4月19日午後撮影)

東芝横浜事業所(4月19日午後撮影)

債務者と権利者(債権者)

 根抵当権設定仮登記の債務者は東芝。権利者(債権者)は金融機関や保険会社など、多岐にわたる。今回の仮登記について、金融機関の担当者は「断続的に実施している(銀行団と)東芝との折衝の中で設定された。半導体事業の売却先を含め流動的な側面が多く、今回の件で安心とは言えない」とコメントしている。
 権利者には、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行を含め、地銀や保険会社など68行(社)が名を連ねている。

 権利者一覧は、東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年6月1日号に掲載。

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