コーヒー1日1杯で肝細胞がんリスクが20%減

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健康効果がさまざまにとりざたされることが多いコーヒーについて、このほど新たに、毎日の飲用で肝細胞がん(HCC)の危険が減るという研究結果が発表された。

コーヒーの肝臓がんに対する効果はこれまで、国際的な衛生機関なども言及しており、今回の研究はそれらを追う格好となったが、同疾患のうちで最も多いHCCのリスクを低下させている関係が分かった。

英大学の研究グループが研究結果を発表

コーヒーと肝細胞がんとの関係について研究結果を発表したのは、英サウサンプトン大学のオリバー・ケネディ博士らのグループ。英医師会誌(BMJ)がインターネットに設けたオープンアクセスジャーナル「BMJ Open」に論文を寄せた。

ケネディ博士らは、26件の観察研究を用いて、それらをくまなく調査し偏りを除いて分析するシステマティック・レビューと統合解析を実施。計225万人の情報を分析した。

それによると、1日1杯の飲用でHCCになるリスクが20%減る関連性が見つかり、2杯だと35%減る可能性があることが示された。また、5杯の場合ではリスクは半減するという。6杯以上のケースはデータが得られなかった。

対象の観察研究の多くはカフェインの有無について言及しておらず、はっきりはしないものの、カフェイン抜きでも、効果の程度は低くなるが、HCCのリスクを下げる関連性はあるという。

国立がん研究センターのウェブサイトによると、肝臓のがんは、肝臓にできた「原発性肝がん」と別の臓器から転移した「転移性肝がん」に大別される。日本では原発性肝がんのうちHCCが90%と大部分を占め、肝がんというとほとんどがHCCを指す。

世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)によると、世界でもHCCは肝臓がんのサブタイプとして85%〜90%を占め、東アジアと東南アジアの国々で多い。

1日コーヒー5杯飲むべきと提案するものではないけれど

IARCや、世界がん研究基金(WCRF)なども、コーヒーが肝臓がん予防の役割があるとする考えを支持しているほか、16年4月にも、欧州の複数のがん研究団体の公式学会誌「European Journal of Cancer(ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー)」にもコーヒーとHCCとの関連についての論文が掲載された。

ケネディ博士ら研究グループは、今回の研究がこれまで積み上げられてきたコーヒーと肝臓がんあるいはHCCとの関連を補強できたと考えている。「コーヒーには幅広い健康効果があると広く信じられており、わたしたちの研究では、肝臓がんのリスクに重要な効果を持つことが示された」とケネディ博士。

論文によると、HCCは肝硬変を患った人たちがなるケースが多かったが、最近では、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者が転じることが増えているという。こうした変化などにより、IARCの推計では、NASH からHCCになる患者は世界で今後、1年間で50%の割合で増え、30年には肝臓がんの患者は120万人とみられている。

ケネディ博士は「わたしたちの研究は、1日5杯コーヒー飲むべきと提案するものではない。カフェインの高い摂取による潜在的な害を調べる必要もある。妊娠中の女性は避けなければならない。そられのことをふまえても、わたしたちの発見は、世界でHCCが増えているとの報告や、予後がよいとはいえないことを考えれば意義ある進展だ」としている。