和食に欠かせない調味料の「みりん」ですが、スーパーやコンビニエンスストアでは、よく見ると「本みりん」と「みりん風調味料」の2種類が販売されていることに気がつきます。

 この両者は価格も大きく異なり、どちらを選ぶべきか迷った経験のある人も多いはずですが、その違いとは一体どのようなものでしょうか。また、調理の際に使い分ける基準はあるのでしょうか。

 オトナンサー編集部では、全国味淋(みりん)協会の河合均さんに聞きました。

大きな違いは「アルコール分」

 河合さんによると、そもそも、本みりんとみりん風調味料は主原料や製造工程がまったく異なります。

 本みりんは蒸したもち米、米こうじ、焼酎や醸造アルコールを原料として、40〜60日間じっくり熟成させて造られるもの。米こうじの持つ酵素の働きによって、糖類やアミノ酸などの旨み成分が生まれ、特有のまろやかな風味と甘みが形成されます。

 みりん風調味料は糖類、米、米こうじ、調味料などの原料をブレンドして造られます。主成分は水あめなどの糖類で、本みりんの風味や特徴に近づけた調味料です。

「酒税法上、アルコール分を約12.5〜14.5%含む本みりんは『酒類』に分類されます。これに対して、みりん風調味料はアルコール分を1%未満に抑えたものです。両者の価格に差(=1リットルで100円前後)があるのは、原材料や製造期間の違いと酒税の有無によるものです」(河合さん)

 つまり、本みりんは「酒類調味料」、みりん風調味料は「甘味調味料」と言えます。

両者を使い分けるコツとは

 料理の際に、両者を上手に使い分けるポイントもアルコール分にあります。

「本みりんにはグルコース、オリゴ糖など9種類以上の糖類が含まれており、複雑で上品な甘みをもたらします。これら糖類の作用があるため、照りやツヤを出したい料理に最適です。本みりんに含まれるアルコール分には、肉や魚の生臭さを消したり、食材の煮崩れを防いだりする効果や、味付けが均一に仕上がるメリットもあります」

 ただし、加熱しない料理の場合、アルコール分が残ってしまうため要注意です。

 一方、みりん風調味料はアルコール分をほとんど含まないため、本みりんのような「消臭」「煮崩れ防止」効果は期待できません。しかし、煮切り(加熱してアルコール分をとばすこと)をせずに使えることから、マリネや和え物などの加熱しない料理に甘みやコクを出したい時に活躍します。

 それぞれにメリットがある、本みりんとみりん風調味料。特徴をよく理解して、今後の料理に役立ててみましょう。

(オトナンサー編集部)