40年前にも米粉普及を試みた際には惨敗した農林省(当時)。こんどこそ、国の威信をかけた戦いに成功することはできるだろうか?

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昨今のグルテンフリーブームで、パンや麺類にも米粉を使おうという動きが急速に広まっている。コメ余りで青息吐息だった農林水産省も大喜び。実は40年前にも農林省(当時)が米粉使用を呼びかけたものの、惨敗した歴史がある。まさに「国の威信」をかけた戦いの火ぶたが切り落とされたのだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)

コメvsムギの戦いが勃発!
農水省が推進する米粉普及

 先週、これからの日本の未来を大きく左右する「戦争」が静かに始まった。そう言うと、「ああ、また例の国が日本の排他的経済水域にミサイルを撃ち込んだもんね」と思うかもしれないが、そういうキナ臭い話ではなく、「コメ・ムギ戦争」のことだ。

 さる5月25日、「米粉」の普及を推進する「日本米粉協会」が設立された。背景には近年、世界的にも人気の高まりを見せてきた「グルテンフリー」がある。

 ご存じの方も多いかもしれないが、「グルテンフリー」とは、麦類に含まれるグルテンタンパク質の含有量の基準値を「20ppm未満」とした商品の表示。グルテンは非常に粘性が高いために小腸の内壁に付着しやすく、粘膜が炎症を起こしてお腹を壊すなどの症状が出る「セリアック病」の原因になるということで、欧州や米国のセレブをはじめ、健康や美容に対して意識高い系の人から敬遠されており、そのトレンドが日本でもじわじわと広がっている。

 そこで、これまで小麦粉が「寡占状態」だったパン、パスタ、うどんなどの原料市場へ、「グルテンフリー」という錦の御旗を掲げて「米粉」が一気に攻め込もうとしている。そのための組織が、「日本米粉協会」なのだ。

 小麦粉のシェアを奪いたいというのは分かったけれど、いくらなんでも「戦争」という表現は煽りすぎでしょ、と思うかもしれないが、そう言っても差し支えないくらい、この戦いには「国家」が前面に出ている。

 たとえば、分かりやすいのが設立総会で来賓として出席した奥原正明・農林水産省事務次官の挨拶だ。

「グルテンフリーを売り物にして海外にも出ていき、欧米で流行れば、日本国内にも還流してくることは歴史が証明している。米粉については今、相当大きなチャンスがきていると思う。本格的な米粉時代がやってくる。どこのスーパーに行っても米粉商品が必ず置いてある、という時代を一日も早く作り出したいので、皆さんの健闘を是非お願いしたい」

 会員企業のみなさんの気分が良くなるように、調子のいいことを言っているわけではない。実は奥原氏は10年前の食糧部長時代から米粉の普及に取り組み、米粉の生産・利用拡大に関する法律整備にも携わってきた、いわば「ミスター米粉」なのだ。

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