中国政府は、国連安保理の対北朝鮮制裁決議に基づき、2月19日から北朝鮮産の石炭の輸入を停止する措置を取った。北朝鮮船舶の多くが中国の港から姿を消したが、最近に入って再び動きを活発化させていると、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じている。中国制裁措置に抜け穴があるか、何らかの理由から制裁が緩められている可能性がある。

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VOAは、船舶の位置情報をリアルタイムで表示するウェブサイト、マリン・トラフィックの情報を引用し、26日の時点で長津江(チャンジンガン)号、クムソン7号、金剛山(クムガンサン)号、ミンフン号など北朝鮮籍の船舶6隻が、中国の龍口港から10キロ離れた海上に、23日から停泊し続けていると報じた。

また、同じ山東省の煙台港から10数キロ離れた海上にも、テソン号、カンアン1号、カンナム1号など10数隻が3日間停泊しており、蓬莱港にも解放山(へバンサン)号、慈母山(チャモサン)号がしばらく停泊していたことが確認された。

アジア太平洋地域で船舶の安全基準を監督する国際組織「東京MOU」の資料にも、北朝鮮船舶の活発な動きが現れている。

東京MOUは今月1日から26日までの間に、煙台や日照など中国の港で北朝鮮船舶19隻の抜き打ちで検査を行っている。4月は5隻だけだったのと比べ、大幅に増えた。

これらの港の共通点は、黄海を挟んで北朝鮮と向かい合う山東省にあり、石炭などの地下資源を主に扱っていることだ。

中国政府の北朝鮮産石炭の輸入停止措置で、港に頻繁に出入りしていた北朝鮮の船舶の多くが姿を消した。税関当局は4月、貿易会社に対して北朝鮮から輸入した石炭を差し戻すよう命じるなど、措置が守られている様子が伺えた。

てられたら一巻の終わり」北朝鮮で広がる不安)

一方で、3月中旬に公海上に3週間停泊していた北朝鮮船舶10隻が一斉に龍口港に入港したり、民間レベルで小規模な石炭の輸入が行われるなど、輸入停止措置に抜け穴があることも指摘されてきた。