今大会は2試合に出場した杉岡。本人も本職とは異なるポジションで手応えを掴んだようだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 杉岡大暉のU-20ワールドカップは、出場2試合で終わった。
 
 初戦、第2戦と出番がなかったが、チャンスはグループリーグ最終戦にやって来た。左サイドバックとしてスタメンに抜擢され、安定した守備と機を見たオーバーラップで存在感を発揮し、90分間戦い抜いた。

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 しかし、試合後のミックスゾーンで彼の表情は冴えなかった。その理由は開始早々のプレーに遡る。3分にMFロランド・マンドラゴラのロングパスに対し、CB中山雄太と冨安健洋がラインを上げたが、彼とDF初瀬亮が残ってしまい、FWアンドレア・ファビッリに簡単に抜け出されてしまった。結果、杉岡がマークしていたはずのMFリッカルド・オルソリーニに置き去りにされ、フリーで先制点を決められてしまった。
 
「経験の浅さからか、ラインで僕が残ってしまった。自分のミスで失点をしてしまった。本当に悔しい」
 
 イタリア戦での二の舞を避けるべく、2戦連続スタメンとなったベネズエラ戦では、ラインコントロールに細心の注意を払いながらも、188センチの大型FWセルジオ・コルドバとマッチアップするという難しいタスクをこなした。
 
 ベネズエラの得点源となっていたコルドバに対し、「まずは彼に仕事をさせないことを考えました」と、フィジカルコンタクトで一歩も引かず、文字通り身体を張った守備を見せた。
 
 自身がサイドバックとして課題に挙げていた攻撃面でも、11分にMF堂安律のサイドチェンジを受けて、MF三好康児に合わせると、39分にはFW高木彰人へピンポイントクロスを送る。いずれもゴールにならなかったが、質の高いクロスでチャンスを演出した。
 
 後半に入ってもプレー精度は落ちなかった。特に守備面の安定が際立ち、コルドバとのイーブンボールの競り合いでも負けることなく、ベネズエラの得点源へのルートを遮断した。
 
 延長戦に入ってもラインコントロールを含め、これまでの試合の中で一番いい守備ができていた。しかし、最後の最後でセットプレー一発に沈んだ。
「自分に何ができて、何ができないのか。それを求めてここに来た」
 
 大会前にこう話していた彼は、2試合の出場で一体何を見出したのだろうか。
「今大会はサイドバックでの出場でしたが、今まではそんなに足が速い方ではないと思っていたし、(サイドバックは)向いてないなと思っていた自分もいたのですが、今大会を経験してみて、世界の相手にもやれると思ったし、もっともっとできると思った」
 
 初めての世界の舞台で、杉岡は自分のサイドバックとしての可能性を掴みとった。すなわちそれは、守備面におけるユーティリティプレーヤーとしてのポテンシャルを発見した瞬間だった。
 
 内山ジャパンではサイドバック起用が多かった杉岡だが、「サイドバックより真ん中が良いです」と、自らのポテンシャルに気付けず、半信半疑だった。それが今大会で自信に変わったのだ。
 
「サイドバックもセンターバックも高いレベルでやりたい。もちろんまだまだ足りない部分がたくさんあったので、もっと質を上げたい」
 
 今大会で二足目のわらじを手にした杉岡は、その二足のわらじを共に最高級の逸品に変えるべく、未来へ向けて新たなスタートを切った。自らのポテンシャルに希望を抱きながら。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)