iPhoneが救世主になったワケ。ジェットダイスケ写真展「空蝉」、銀座で6月3日まで開催中
東京銀座の「EIZOガレリア銀座」にて開催されているジェットダイスケ作品展「空蝉」を見に行きました。
ジェットダイスケさんといえば、YouTuberとして有名で、EIZOの4Kモニターでの展示ということで動画を駆使した写真展的なものかと予想していましたが、実際は大きく異なるものでした。

【ギャラリー】空蝉 (37枚)



写真展の展示は2種類に分かれており、ひとつはEIZOの4Kモニター「ColorEdge CG318-4K」によるスライドショーです。SONYのα7R IIとFE 90mm F2.8 Macro G OSSを主とした機材で42メガピクセルの高精細写真と、等倍切り出しによるドットバイドット表示を見ることができます。




もう一つの展示は、富士フイルムが運営するプロラボサービス、クリエイトによるクリスタルプリントによるA全判でのプリント展示でした。撮影意図を表現するための用紙選択や、展示する写真の位置(高さ)など、木の上にとまって羽化するセミを見上げるという「体験」をするための緻密な設計がそこにありました。



4Kモニター、プリントともに、今までに見た写真展示にはない高精細で緻密な描写を見て取れました。4Kモニターや42メガピクセルの撮影ができる機材だから実現したのはその通りなのでしょうが、それだけでは実現できない要素があるのだと感じました。



そんな撮影秘話や、YouTuberとして成功しているジェットダイスケさんがなぜ写真家として活動しているのかの一端を知るために、セミナーにも参加しました。



昆虫のような小さな対象を緻密に撮影するには、やはりマクロ撮影をしていたということで、4240万画素のフルサイズセンサーを備えたSONYのα7R IIと、夜明け前の暗さでも威力を発揮するFE 90mm F2.8 Macro G OSSを使用し、それ以外にも三脚やスライダーなどを駆使したそうです。



さらに、高感度ノイズの削減や描写のために、ISO感度は100に設定、長時間露光を行うといった手法をとりました。しかし、それでは羽化の途中で動きがある際に被写体ブレが生じてしまいます。それではとフラッシュを使用すると、光のストレスで羽化を止めてしまうことや、羽化した後、高速で逃げてしまうということもあるのだそうです。



試行錯誤の結果、iPhoneのライトを露光中に動かしながら撮影したところ、展示写真にあるような、翡翠色の体に黄金の産毛がある写真が撮れたということです。



セミを始め、昆虫の多くは体液(血リンパ液)にヘモシアニンと呼ばれる呼吸色素を含んでいます。ヘモシアニンそのものは無色透明ですが、酸素と結びつくことで銅イオン由来の青色になります。セミは、羽化の際にそんなヘモシアニンを含んだ体液を畳まれた羽に送り込んで本来の大きさに展開します。やがて時間とともに硬化して成虫本来の色になりますので、このような美しい姿を見ることはほんの一瞬というわけです。



そんな刹那な美しさや、羽化した後の抜け殻に光が当たった様子、目に映りこんだ光などを宝石にたとえ、まさに宝石を撮影するような気持ちで撮影したということです。羽化の際にせわしなく動く触角や脚などが一瞬止まるその瞬間を狙って長時間露光をしたということで、納得できる写真が撮れるまで、7年の歳月がかかったそうです。



奇しくもセミが卵から孵り、地中で過ごし成虫として羽化するまでの期間を費やした蝉の羽化の撮影は、子供時代に蝉の幼虫を捕まえて羽化させていた体験に拠るのだそうです。しかも、当時住んでいた石神井公園には、セミがたくさんいて早朝のランニングをしている人のすぐそばで羽化をしていることもあったと言います。



今回のセミナーでは、機材の詳細から露出設定まで、そしてライティングのTipsまで紹介してくれましたが、同じ機材、同じ設定をもってしてもおそらくほとんどの人はここまでの作品は撮れないだろうと思いました。直接セミの撮影をした7年の歳月だけでなく、写真に向き合ってきた時間やYoutuberとしての経験その他の経験が結びついてのものが、作品として結実したのだと思いますし、それがクリエイティブなのだと感じました。



ジェットダイスケ作品展「空蝉」は、6月3日(土)までの開催です。最終日の3日、)13時〜と16時〜は、ジェットダイスケさんによるギャラリートーク、蝉ナー、が行われます。ぜひ、自分の目で直接、美しいセミの写真を体験してみてください。

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