菊川怜が夫の婚外子騒動に動じない理由

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タレントの菊川怜さんが「脱・独身」を発表。ところが「相手に婚外子がいた」という週刊文春の記事が出て批判を受けている。「やっぱり男を見る目がない」などの陰口も聞こえてくるが、本当に最難関女子校出身者には男を見る目がないのだろうか?

■最難関女子校出身者は、そんなに「男を見る目がない」のか?

フジテレビ系列の情報番組『とくダネ!』のMCとして活躍するタレント・菊川怜さんが結婚を発表した。報道によるとお相手は、カカクコムやクックパッドの社長などを歴任した投資家・穐田誉輝(あきた・よしてる)氏だということで、「あの才色兼備の菊川怜がとうとう結婚! しかもその相手が穐田氏とは!」と世間が色めき立ったのは4月下旬。だがその後、週刊文春が穐田氏の離婚歴や複数の婚外子の存在などを報じ、お祝いムードは一気に鎮魂葬送ムードへと急降下した。

こうなるとすぐに出現するのが、「もともと負け犬キャラだったわけだし、桜蔭→東大で勉強ばっかりしていた女なんて、やっぱり男を見る目がないよなぁ」というコメント。女子校で育ち、まして東大に合格するような女など、さぞかし恋愛経験が乏しくて女として「欠けている」だろう、というのが根拠らしい。

「やっぱり」って何だ、そんなにそういうピンポイントな学歴を持つ女性の恋愛実態をマニアックにご存知なのか、それは単に「桜蔭・東大卒なんてイヤミな学歴を持つ美女」には「男を見る目がない」方が気味がいいとか据わりがいいとかで何らかの溜飲を下げたいだけじゃないのか……と、つい物書きとしては気になってしまうのである。

というわけで今回も余計なお世話と重々承知しつつ、本日の脳内エア会議のお題は「最難関女子校出身者には男を見る目がないのか?」でございます。

■我らが菊川怜ちゃんを「トロフィーワイフ」にする男?

穐田氏には婚外子が4人いるらしいが、あのイケメンぶりに加えて総資産200億円と聞けば、さもありなん。女性が放っておくワケもなく、そんな競争率の高い物件を“承知の上で”手中に落としたとなれば、「よくやった! さすが怜ちゃん。よかったよかった!」と、私などは彼女のために勝手に祝杯を挙げたいくらいだ。

ただ、恋愛大国フランスと異なり、ここは離婚やら不倫やら婚外子やらは問答無用でネガティブ要素である日本。余計な文春砲が炸裂したおかげで、怜ちゃんは朝の情報番組MCとして針のムシロの上にいるらしい。

しかも「やり手投資家が落とした才色兼備タレント」と、怜ちゃんをトロフィーワイフ扱いする記事もある(参考:日刊ゲンダイ「4人目婚外子も……菊川怜が選んだトロフィーワイフの幸せ」2017年5月20日)。いやいやいや、私からすれば「どっちがトロフィーだと思ってんの?」という話である。

東大卒の経歴がクローズアップされる怜ちゃんだが、同じ桜蔭という、女子校で東大合格者数日本一という“最強(最恐)女子校”出身者で「ガリ勉ばっかり」「制服がおばさんっぽい」「たまに美人がいるけどもれなく可愛げがない」と世間から「女のくせに勉強ができる」ことを腐され続ける特殊な中学高校で思春期を過ごした立場からすると、怜ちゃんが世間へ受け入れられ人気を手にしていった過程を想像するだけで、桜蔭OGとしてその苦労を偲び、涙を隠せない。

桜蔭はさすが進学校だけあり、卒業生たちは医師・法曹界・官僚・金融・マスコミ・その他大手民間企業、思いつく限り日本のあらゆる「エリート層」に散らばっている。桜蔭OGに限らずだが、こういう、男性と同等かそれ以上に活躍できる女たちがどういう男選びをするか。外見が女だからって勘違いしてはいけない。彼女たちの男選びがほぼ「普通の男が女を選ぶときと同じ」だということに、なぜ想像がつかないのだろうか。菊川怜が彼女の才能と稼ぎをもってなお39で選び取った男とは、資産が何百億だろうが間違いなく「トロフィーハズバンド」なのだが、そういう発想に世間はまだ気づいていない。

■自己完結できる最強女は男の話題に淡白

先日、私は幼稚園から高校まで同じ学び舎で過ごした幼馴染とマダムの巣窟・二子玉川のフレンチの店でシャンパンを傾けながら珍しくランチをしていた。同じ私立大付属幼稚園・小学校を経て、都内の女子御三家、桜蔭中高へ共に進んだ者同士。劣等生だった私は箸にも棒にもかからぬしがないライターだが、人生通して優秀な彼女は家業を継いで一家の大黒柱となり、今や地元でも有名な開業医である。お互い結婚し、同じ年の子供を持つ幼馴染みが言った。

「菊川怜ちゃん、あんな記事が出て大変そうね。うちの真ん中の妹の一つ下の学年なの」

「ああー、もうそんなトシだっけ? あんなに綺麗だけど、結構私たちと近かったんだねぇ」

「そうよ、もう39かな……」

「でも、なんたって“菊川怜”だから、大丈夫じゃないの」

「そうよね、“菊川怜”だもの」

彼女は三姉妹の長女で、三姉妹全員が桜蔭を卒業して医学部へ進み、医師として活躍しているというハイスペックすぎる人生なのだが、彼女に限らず、こういった噂話がまったく噂話として機能しないのは、桜蔭生の特徴でもある。桜蔭生はそういう他人の噂――特に普通の女性ならみんなが目の色を変えて嬉しげにコソコソ話すような蜜の味のゴシップには、極めて淡白でフラットなところがある。なぜか。

それは女子としての自己完結性に原因あり、なのだ。

■女子御三家の個性を示す「空き缶のたとえ話」

いわゆる女子御三家校と呼ばれる桜蔭・女子学院(JG)・雙葉とはどういう学校かを端的に表現する、有名な「空き缶の話」というのがある。もし、道に空き缶が落ちていたら、3校の生徒はどう反応するか。桜蔭生は「本を読むのに夢中で缶が落ちていることに気づかず」、雙葉生は「きちんと拾ってゴミ箱に捨て」、JG生は「みんなでその空き缶で缶蹴りを始める」というものだ。

私はこの40年超の人生で、もう耳にタコができるほど聞いた。「そっと缶を拾って捨てる雙葉生はさすが育ちのいいお嬢様」、「缶蹴りを始めるJG生はさすが自由闊達で発想も豊か」、一方「缶に気づかないほど本ばっかり読んで周りが見えていない桜蔭生はおかしい」と、たとえ話なのに私が叱られた。マジ意味がわからない。まぁいいけどね、もう。

それぞれ明確に傾向の違いはあるが、「自分たちへの自信」が揺るがない点は同じ。実際に私の周りを見ても、JGの友達は自分軸を譲らないし、自分が認めない他者には寄せない。雙葉の友達は「育ちが良くてしかも賢い」と、世間受けで自分たちが最強だと知っている。桜蔭は、本当に我関せずを貫く。相対値で見ずに絶対値で見るクセがあるゆえ、人と比べる幸せに一切カタルシスがない研究者マインドの持ち主が多い。だからゴシップにも興味がない。自分で目標設定して自分でコツコツと克服・到達するのが何よりの喜び、まさに自己完結した存在なのである……。

■ハズレくじは、自分で「当たり」に変えればいい

そしてこの“自己完結”とは、いま世間で活躍する優秀な女子たちには、年代に関わらず共通する傾向でもあると思う。人一倍稼ぎがある。一人で生きていける。何でもできる。「男の存在に補われて初めて完成する存在」ではない。そういう女たちにとっての結婚とは、どんな形になるだろう?

この自己完結した女たちには、世間の言う「男を見る目」など必要ないという皮肉が発生する。補われる必要も、養われる必要もないため、どんな男を選んだとしても、何かあればアッサリと別れることができるからだ。男に過剰な期待はせず、その時の必要に応じて、欲しいものを確実に提供してくれる男を選ぶ。

だから逆に、「男を見る目がある女」「男を見る目が必要な女」ならば、穐田誉輝氏なんか危なっかしくて選ばないのかもしれない。たとえイケメンで資産家であっても、女性問題を起こしたり隠し子がいる男性は、世間的には「ハズレ(そうな)くじ」なのかもしれない。だが、自己完結した女ならこう考える。「ハズレか当たりかを決めるのは、私」。

ハズレくじだって力技で当たりに変えてみせる。それが最強女子校で育つということだ。頭脳も美貌も名声も、既に全部持っている怜ちゃんの結婚は、怜ちゃんが当たりに変えればいいだけのことなのだ。

■「私たち、結構男見る目あるよね?」バツだらけの彼女がそう言えるワケ

「私たち、結構男見る目あるよね〜?」。東大卒や難関大卒、医師や弁護士をはじめとするエリート女性がずらりと並ぶ桜蔭の同窓会で、とある同級生がワイングラスを片手にそう言った。バツイチどころではなく、バツ2でオールドメディア勤めのバリキャリだ。「私は一緒に住むのも面倒になっちゃう性格だから2つバツついちゃったけど、一応まともに働く男を選んで、子種も残したよ。十分じゃない?」。

それに請け合ったのは、外資コンサルを渡り歩く猛者だった。「しかも、私たちのキャリアにも子育てにも口出ししない男をちゃんと選んでるもんね。まあ私の夫は基本的に一年の半分以上海外暮らしだから、見えないぶんには何やっててもいいのよ」。医師同士で結婚している美人女医はこう言った。「うちなんて、夫婦というよりは完全に、一人暮らしの男と女が同居しているみたいなもん。家事? 我慢できなくなった方がやればいいのよ」。

「そもそも30歳前に結婚したのも、とにかく『既婚者』になってしまえば、『男性からの変な勘違いや誘いもなくなって、仕事に集中できる!』って思いからだったし」

「それあるわ〜、もう放っといてって思うよね。あんたなんか相手にするヒマないのよ、仕事させてよ! って」

「夫も、協力しなくていいからとにかく邪魔しないでほしい、私にママの代わりを期待しないでほしい、って思うわ」

「そうなのよ、下手な協力なんかいらないから、とにかく自分のことは自分でやって、私のことは放っといてくれればいい」

「私、夫の2倍稼いでるから、『家事分担を年収比で決めるのが合理的』なんて思っている共働き夫婦の話の残酷さがわかるよ(笑)」

「結局、自立している男がいいよね。仮にこっちが養うことになっても一向に構わないから、自分で炊事洗濯掃除する能力だけはしっかりあってほしい。もう、それだけできていれば合格じゃない?」

そんな彼女たちが、口を揃えて言った「私たちは結構男を見る目がある」との言葉。その味わい深さに、横で聞いていた劣等生の私のグラスが進んで仕方がなかったのは言うまでもない。

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河崎環(かわさき・たまき)
1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。桜蔭学園中高から転勤で大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部に入学。奥出直人教授のもとで文化人類学・比較メディア論を、榊原清則教授のもとでイノベーション論を学ぶ。大学の研究者になることを志し、ニューヨーク大学ビジネススクールの合格も手にしていたが、子供を授かり学生結婚後、子育てに従事。家族の海外駐在に帯同して欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどに寄稿・出演多数。教育・子育て、グローバル政治経済、デザインそのほか多岐にわたる分野での記事・コラム執筆を続け、政府広報誌や行政白書にも参加する。子どもは、20歳の長女、11歳の長男の2人。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)。

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(フリーライター/コラムニスト 河崎 環 撮影=宇佐見利明)