米ニューヨークで開催の食品廃棄問題の関連イベントで演説するチェルシー・クリントンさん(2017年4月25日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】米国のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官とビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領夫妻の娘チェルシー(Chelsea Clinton)さん(37)の、公職選挙への出馬に関する臆測が後を絶たない──。ツイッター(Twitter)での発言や新たな本の出版など、母親の大統領選敗北後、ますますその存在感が増している。

 以前は、カーリーヘアの引っ込み思案の少女として知られたチェルシーさんだが、昨年は、母親を米国初の女性大統領に押し上げるため、エネルギッシュなリベラル派として全米を飛び回った。

 最終的にその努力は報われなかったが、元不動産王の億万長者、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏に負けたことで、チェルシーさんの情熱はさらに熱を帯びたようにも見える。

 チェルシーさんはツイッターのフォロワー170万人に向けて、トランプ政権に対する激しい怒りを発信し続けている。他方で、世界月経衛生日から児童婚まで、あらゆる社会問題についての意見も多い。これらの言動から、メディア各社は彼女の今後の動向についての臆測を大きく報じている。表向きの説明では、チェルシーさんはその臆測を否定している。だが、「今はノー」という、いかにも政治家が使いそうなフレーズには注目が集まっている。

 そして、チェルシーさんはこのほど、自身にとって3冊目の本を出版した。これがきっかけとなり、出馬をめぐる臆測が再浮上している。

「She Persisted」と題された全28ページのハードカバーの絵本で「世界を変えた」13人の米国人女性をテーマにしている。13人に含まれているのは米女性司会者オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)さん、聴覚と視覚に障害がある社会活動家ヘレン・ケラー(Helen Keller)、元奴隷で奴隷解放運動家のハリエット・タブマン(Harriet Tubman)、米初の女性宇宙飛行士サリー・ライド(Sally Ride)さん、五輪女子短距離世界記録保持者のフローレンス・グリフィス・ジョイナー(Florence Griffith-Joyner)さんら。母親のヒラリー氏は「カメオ出演」のみだという。

■厳しい意見も

 チェルシーさんは、30日に放送の米テレビNBC「トゥデイ・ショー(Today Show)」に出演した。番組中、6か月前のヒラリー氏の敗北に家族はどう対処したのかと問われると、「わたしにとって、昨年起きたことよりも、進歩をどう守り進めるかの方がはるかに大事」と回答し、「それが私のDNAのなせる技か、それとも両親が常に示してきた、常に未来志向で、との手本に倣おうとしているのか、それは分からない」と述べた。

 また、ツイッターにみられるチェルシーさんの「辛らつでとがったオンライン上の性格」を詳細に分析した、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の3月の特集記事について問われると、「われわれは皆、今、沈黙を続けてはいけない責任がある。声を上げなければいけない」と語った。

 チェルシーさんは、父親の大統領任期中の1993〜2001年にはまだ学生だった。スタンフォード(Stanford)、オックスフォード(Oxford)、コロンビア(Columbia)でそれぞれ学んだ後、ウォール街(Wall Street)で働いた。さらに米NBCの「特派員」にもなった。その時の報酬は60万ドル(約6650万円)と報じられた。

 現在はクリントン財団の副理事長を務め、またコロンビア大学の保健衛生政策学・管理学部で非常勤で働いているチェルシーさんは夫のマーク・メジンスキー(Marc Mezvinsky)さんと、米ニューヨーク(New York)マンハッタン(Manhattan)のマディソン・スクエア・パーク(Madison Square Park)向かいの超高級マンションに住んでいる。

 米国の元ファースト・チャイルドで彼女ほど目立つ人物は他にいないだろう。しかし、その大きな存在感がかえってあだとなることもあり、普段はトランプ氏に批判的なメディアの中にもチェルシーさんに対する厳しい論調を見ることができる。米誌ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)4月号では、「神様、チェルシー・クリントンを止めて」と棘(とげ)のある見出しが躍り、「リベラルにとって不要なのは、失敗した政治王朝の3代目」とのメッセージを発した。

 批評家らは、母親のヒラリー氏と同様、チェルシーさんは一般の有権者らの気持ちを理解する難しさに直面していると指摘する。彼女はこれまでにも、自身にとってお金が本当に重要なのかを知るために金融業界で働いていたとの発言で、世間から白い目で見られたこともある。

 それでもトランプ氏に敗北した民主党は、明確な指導者を求めていることに変わりはない。ある古参の民主党運動員はAFPの取材に対し、それがチェルシーさんである可能性を示唆している。
【翻訳編集】AFPBB News