フェイスブックの「Like(いいね)」ボタン。米首都ワシントンで撮影(2012年5月10日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】スイス・チューリヒ(Zurich)の裁判所は29日、フェイスブック(Facebook)で動物保護活動家を「人種差別主義者」「反ユダヤ主義者」とこき下ろす中傷的な投稿に「いいね!」ボタンを押した男性被告(45)に4000スイス・フラン(約45万円)の条件付き罰金を科す判決を下した。

 30日にAFPに送られてきた裁判所の声明によると、被告はフェイスブックでエルビン・ケスラー(Erwin Kessler)氏と同氏の動物保護団体「フェアライン・ゲーゲン・ティアファブリケン」(動物工場に反対する会)を人種差別主義的で反ユダヤ的だと非難していた。被告の氏名は明らかにされていない。

 ケスラー氏は20年近く前、動物をいけにえにするユダヤ教の儀式をナチス・ドイツ(Nazi)の行為になぞらえたことで、スイスの反人種差別法に違反したとして短期間の禁錮刑を受けたことがある。

 スイスの日刊紙ターゲス・アンツァイガー(Tages-Anzeiger)によると、問題のコメントは2015年、完全菜食主義(ビーガン)をテーマにした大規模ストリートフェスティバルにどの動物保護団体の参加を許すべきかについてフェイスブック上の複数のグループで行われた白熱した議論の中でなされたものだった。

 ケスラー氏はこのときのやりとりに加わった十数人を相手取って裁判を起こしたと、被告の一人の弁護士がAFPに明らかにした。

 すでに数人の被告が主に自身が行った特定のコメントを理由に有罪判決を受けているが、他者のコメントに「いいね!」を押しただけで有罪となったのは29日に判決を受けた男性被告が初めてとみられる。

 裁判所はケスラー氏に対する第三者の敵意に満ちた複数のコメントに男性被告が「いいね!」を押したことを問題視。男性被告がこのコメントを投稿した本人ではないことは重要ではないと指摘し、「いいね!」ボタンをクリックしたことによって被告は社会的に不適切な内容を明白に支持し、自分でその内容をコメントしたのも同然だとしている。

 判事は29日の判決の中で、被告はコメントの内容が真実であることを証明しないまま「いいね!」ボタンをクリックし、フェイスブックでつながっている多くの人にその情報が届くようにしてケスラー氏の名誉を傷つけたと述べた。

 男性被告の弁護士は、ケスラー氏に訴えられた他の被告らは上訴しないことを選んでいると指摘し、男性被告が時間と費用をかけて上訴するかどうかは分からないと述べた。また裁判所がフェイスブックの「いいね!」ボタンを押しただけの人を有罪にすべきだと考えているのならばスイスは判事の人数を3倍に増やす必要があるし、それは容易に表現の自由への脅威にもなると述べた。
【翻訳編集】AFPBB News