ホームでのムアントン・U戦でも1ゴール。大卒2年目で才能が花開きつつある。写真:徳原隆元

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[ACLラウンド16]川崎 4-1 ムアントン・U/5月30日/等々力

 昨年、大ヒットしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」。その主題歌である星野源の「恋」に乗せた応援歌を最近、耳にする機会が増えた。川崎サポーターが、歌に乗せて後押しするのは大卒2年目の長谷川竜也だ。
 
 164センチ・58キロ。小柄ながら俊敏性に優れたアタッカーは、まさに覚醒の時を迎えようとしている。
 
 ACLのラウンド16、ムアントン・Uとの第2戦でも、長谷川は先制した直後の32分にクロスに合わせて貴重な追加点を奪った。
 
「あの時はボールを見ていなかったです。田坂(祐介)さんから(小林)悠さんにパスが出る前に、ファーにいる時はいつも悠さんの動きを見ていて、悠さんが裏に抜けようとしていたので、絶対にファーに流れてくると思いました。タイミングよく入ることだけを考えていました」
 
 その言葉通り、田坂からのスルーパスを受けた小林がクロスを上げると、絶妙なタイミングで走り込んだのが長谷川だった。
 
 これで今季5ゴール目。怪我に泣いた昨季はリーグ最終戦での1ゴールのみに終わっただけに、成長を感じられる成績だ。さらにパスサッカーを基盤とする川崎にあって、自慢のスピードを生かしたフリーランは、良いアクセントになっている。
 
「前を向いた時こそ自分の良さを出せると思っています。意識しているのは背後に抜けることと、パスが出なかったら動き直すこと。自分は運動量、また効果的な動きで他の選手と差を付けなければいけません。周りには技術が高い選手が多いので、考えながらプレーしています。
 
 ただ、ピッチに立てば、周りの選手は流動的に動き、スペースを空けてくれるので、自分はそのスペースを見つけて、走るだけです。だから自分がプレーできるのは周りの選手がいてこそ。今日もアキさん(家長昭博)らが前線から落ちてボールを受けてくれたから相手に隙が生まれました。そういう意味では周りの動きを見ることはできています。良い関係を築けていると思います」

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 ただ、こちらの期待とは裏腹に、本人は現状のプレーに満足していないという。
 
「今日もシンプルにミスが多かった。しかもシュートを打てるところでパスを出してしまったり、自分のなかでは全然ダメでした。点を取ったのは良かったですが……。今日の試合は、(第1戦を3-1と勝利し)点差が開いていたので、攻めるのか、守るのか判断が難しいところもありました。でも、それは良い経験になりました。勉強できたので、そこはポジティブに考えたいです」
 
 言葉の端々に誠実な性格が滲み出ている。高みを目指し続ける姿勢は、さらなる成長につながるだろう。
 
「リーグ戦やACLなど大会に関係なく、出る試合すべてを成長につなげたい。そこから逆算して練習もやっています。練習でやっていることを試合でもできるかが自分の評価基準。そういう意味では一試合一試合を大切にしていきたいです」
 
 ACLで8年ぶりにベスト8へ進出した川崎にとって、“昇竜”のごとく進化する長谷川の存在は、今後、重要度を増していきそうだ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)