タイトな守備を随所に見せていた昌子だが、チームとして先制に成功しながらも、愕然とする相手を畳みかけられなかったことを悔やんだ。写真:田中研治

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[ACLラウンド16]鹿島 2-1 広州恒大/5月30日/カシマ
 
 ペドロ・ジュニオールの先制点が決まった直後、昌子源は歓喜に沸くわけでもなく、かといって落胆するでもなく、周囲の状況を静かに観察していた。
 
「後ろにいるから、相手の様子がよく見える。パウリーニョやグラルがすごい怒ったり、下を向く選手もいた。スコラ―リ監督もめっちゃキレていた。俺らやったら、失点しても、(小笠原)満男さんとかが『行くぞ!』と前を向かせてくれる。『引きずるな』とか俺も言うし。でも、そういうのが広州には見られなかった。愕然としていた」
 
 だからこそ、「絶対に行ける。2点、3点、取れるチャンス」と思った。
 
 しかし、そのことをチームメイトたちに伝えきれなかった。
 
「点を決めて嬉しいのは分かるし、チームで喜びに行くのはすごい分かるけど、言ってしまえば、まだ勝ったわけではない。1-0だけど、まだ俺らの勝ちではない。自分たちでボールを取って、セットして、もう1点、取りに行くぞ、と。1-0ではありえへん光景やけど、実際にはまだ追いついただけ」
 
 近くにいた植田直通や山本脩斗、戻ってきた永木亮太には自分の考えを伝えられたが、次の選手に、と思った瞬間、ゲーム再開のホイッスルが鳴ってしまった。
 
「サッカーとは関係ないところでのプレッシャーも、案外あると思う」
 
 アウェーでの第1戦は0-1で落としている。ホームでの第2戦、幸先良く先制できたが、スコアは振り出しに戻っただけ。ただ、相手はバラバラになりかけている。「前半は俺らに転ぶゲーム内容。そこで勝負をつけられたかもしれなかった」。リードを得た勢いでそのまま畳みかけようとする姿勢を、チームとして十分に見せられなかったと、昌子は悔やんだ。
 
 最終的には、途中出場の金崎夢生のゴールで、試合自体は2-1の勝利を収めることができた。しかし、アウェーゴールの差で鹿島の敗退が決定。“あと1点”が足りず、初のACL制覇の野望はラウンド16で潰えた。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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