市場が動きにくい理由を整理、5月31日のドル円為替

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 1ドル111円台で進んできたドル円の為替相場が、ここにきて111円を割り込んでいる。大幅な下落というわけではなく111円台に戻す場面も見られたが、ドルがやや低調なのは間違いない。しばらくドルの下支えとなってきた6月の追加利上げ観測が、最近の経済指標やFRB高官のコメントからわずかながら後退している。これが逆にドルの重しになっているのだ。一方で利上げについては手堅いという見方が強く、アメリカ政府の大規模財政出動政策への期待感も根強いために下値は限定的である。

 市場は強烈なジレンマを感じているだろう。動きがとりにくい理由が何点かある。

○ロシアゲート疑惑 こちらがどのように解決されるのかで話は大きく変わる。依然として不透明なために判断がしにくい。コミー前FBI長官の議会証言もいつになるのか未定である。

○トランプ政策 実施に移されればアメリカの活性化につながるために期待を寄せられているが、現状は絵に描いた餅の状態で、議会審議も滞っている。

○アメリカのインフレ率 5月30日21:30(すべて日本時間)に4月コアPCEデフレーターが発表された。前年比+1.5%と事前予想どおりだった。ただし3月は+1.6%だっただけにインフレの鈍化を懸念する声もある。ブレイナードFRB理事は「弱いインフレが長引けば金利の見直しは必要だ」というコメントを発表している。個人所得、個人消費支出とも事前予想どおりと悪い結果ではなかったことで、1ドル111円24銭まで戻したが、そこからはなだらかなドル売りが続き、日付の変わった31日1:00には1ドル110円67銭の下値をつけた。30日23:00に発表された5月の消費者信頼感指数が事前予想を大きく割り込んだことも影響している。アメリカの経済状況に疑問を持ち始めているのも動きがとりにくい理由の一つだろう。

○朝鮮半島の地政学リスク こちらも完全に停滞状態のため判断が難しい。北朝鮮がアメリカのレッドラインを越えてくるのか、越えてこなくても強制的な排除に動くのか、対話による解決に希望が見えないため警戒感は強まっている。

 宙ぶらりんになっている事項の一つでもはっきりとすると市場は大きく動き出すだろう。